Path: sokai!inet-gw!cae-gw!ntt-twins!nttlab!daemon From: fpst@hubcap.clemson.edu Newsgroups: fj.mail-lists.parallel Subject: From supercomputing 90---two articles? Message-ID: <126431@nttlab.ntt.JP> Date: 21 Nov 90 21:15:04 GMT Sender: news@nttlab.ntt.JP Distribution: fj Lines: 195 Approved: news@nttlab.ntt These are being sent to Japan only. I will post a comment to the bulletin board =========================== MODERATOR ============================== Steve Stevenson fpst@hubcap.clemson.edu (aka D. E. Stevenson), steve@hubcap.clemson.edu Department of Computer Science, comp.parallel Clemson University, Clemson, SC 29634-1906 (803)656-5880.mabell ==================================================================== Date: Wed, 21 Nov 90 00:10:04 -0800 From: Eugene N. Miya To: fpst@hubcap.clemson.edu Subject: Re: Supercomputing '90 at New York Hilton Hotel Newsgroups: fj.comp.parallel In-Reply-To: <8481@gama.is.tsukuba.ac.jp> Organization: NASA Ames Research Center, Moffett Field, CA Cc: Steve-- I don't know if you get the fj groups (From Japan). But if you had a Kanji terminal, you could read this. Good luck. 8^) In article <8481@gama.is.tsukuba.ac.jp> 小柳義夫@筑波大学 です。 ニューヨーク・ヒルトンホテルで1990年11月12−16日開かれた Supercomputing ’90 から、昨晩帰ってきましたので、簡単な報告をします。  この国際会議は、88年のOrlando、89年のRenoに続く3回目のもので、 アメリカの国立研究所(とメーカー)が中心となって開いているものです。 昨年の参加者は1000人とかいってましたが、今年は1200人とか。 用意したプロシーディングスも売り切れてしまった程でした。展示も盛況 で、全部を合計すると2000人ということです。段々、お祭りという雰 囲気が濃厚になってきた感じもします。  アカデミックな方は、プロシーディングスもありますし、私もごく一部 出ただけなのでさておき、ニューヨークの街の話もいまさらなので、・・  開会式の基調講演は、シンキング・マシン社の創立者の一人で、そもそ もの発案者の、Danny Hillisでした。なかなか、よく準備された講演で 多くのひとが評していたように、学術講演というよりセールストークでは ありましたが、なかなか聞かせました。余談ですが、同じ頃ラスベガスで 開かれた、COMDEXの基調講演をしたビル・ゲイツは、講演のトレー ニングコースに13時間も通って準備したということです。うまい講演を すると、ん百万ドルの宣伝費にも匹敵するとか。  ところが、マイクの調子が悪くて、「歴史のどの時代にあっても、その 時代を代表する技術があった。」という冒頭の「聞かせどころ」を、何度 も繰り返すはめになり、台無しでした。折角、聴衆をうならせようと思っ たでしょうに。要は、蒸気機関車、自動車、飛行機、そしてコンピュータ といいたかったのですが。  ダニーはまずChallenging Old Assumptionという見出しのもとで、コネ クション・マシン(CM)が、何でもできて、Crayより速く、Cray よりやすい、とぶちあげました。記号処理もできる(1.2GIPS)、 数値計算もできる(地球物理で1.2GF)、陰解法だって海中音波の 解析で1.25GFもでる。有限要素だって、宇宙ステーションの構造 解析のような不規則な通信を含む計算もできる。近接相互作用だけでなく ボルテックス模型のような非局所的な計算でも5.2GF出る。気象モデル のFree Lagrange codeのような動的な通信を含む計算もできる。NCAR の浅水コードではFFTをつかったスペクトラル法だって1.8GFでる。 XMP4では0.5GFしかでないのに。反復法だけでなく、直接法だって できる。ロッキード社のレーダー分析では54K個の未知数の方程式を解い た。ロードバランシングだって大丈夫、量子モンテカルロで1.5GF出た。 I/Oだってへいちゃら、多量のI/Oを含む自信の解析をI/O込みで (こりゃ何じゃ)5.6GF出た。Amdahl's lawなどくそ食らえ。問題の 規模と並列度をオーダーnとすると、スカラー部分の計算量はO(1)だ が、並列部分の計算量はO(n)だから、並列化加速率はn→∞で無限大。 The benefit of parallelism increases with amount of data.  てな具合いに、まくしたてました。とにかく都合のよいデータを並べ たて、Crayより高速でかつ費用効率比がよいと、強弁していました。 聴衆にはもちろんCrayのファンが多いので、みんな憤然。  さて、次は「Transition to Massive Parallelism」と題して、1995 年までに1TFlopsのマシンをつくる、と宣言しました。言語としては FORTRANでよい、と。ただし、Fortran90ですが。 最初は、既存のコードを修正しているが、そのうちにMassive Parallel 専用のコードを初めから書くようになる。(これはだれでも言うことだが) そして、スーパー・コンピュータの収入の主力は、今や、ベクトル計算機 からマッシブ・パラレルに遷移しつつあると。  最後の章は、「未来」と題して、将来のTM社の戦略の一端を伺わせる 話をしました。アーキテクチャについて、ちょっとあっと思わせる ことを言いました。分散メモリはハードウェアがつくり易いが、共有メモリ (かれはsingle address spaceという言い方をしました)はプログラムし易 い。両者は融合する方向だ。また、SIMDとMIMDについても、SIM Dはプログラムし易く(本当か?)、MIMDは条件分岐があっても速い、 両者のコンプレックスが将来の方向である。  この二つの点はTM社の軌道修正を示唆しているのでしょうか? 私の 英語力では、それ以上分かりませんでした。  結論として、1995年までに 現在のCM−2とソフトウェア・コンンパチで 1 Tera Flopsの演算速度 1 Tera Byteのメモリ 1 Tera bit/sのI/O速度 のマシンを世に送り出す、と豪語していました。  実は、私の関係している格子ゲージ理論の世界では、東部の15大学の 連合グループが、格子ゲージ理論専用の1TFlopsのマシンを計画し TM社が、これを40Mドル(50億円強)で引き受けてもよいと言って いる、という話が漏れ聞こえています。しかも、1993年に完成!!!!!  もし予算が通れば、TM社はまずこの専用機をつくり、その技術で 2年後、一般の商品を作るのかな、と思った次第です。 ------------------------------------------------------------------------ さて、この会議には、通常の学術プログラムと並行して、Center Directors Round table というセッションがあり、アメリカのスーパー・コンピュータセンタ の関係者が、討議をしています。今回、さいごのセッションだけのぞいてみたら 1秒に1回(は大げさだが)、Japan とか Japanese という単語が飛び出して、 おしりのあたりがむずがゆくなりました。  このセッションでは、何とかと言う人が、HPC(High Performance Computing)プログラムの予算を5年間で1.245Bドル(1500億円) 増額すべきだというレポートをしていました。このまま(シナリオA)では、 1995年にスーパー・コンピュータの生産台数で日本に負け、1997年に 保有台数で負ける。増額すれば(シナリオB)、アメリカが優位に立てる。 というおきまりの日本脅威論。それに、これだけの増額により、アメリカ の国民総生産は、投入金額の少なくとも138倍、多ければ400倍だけ 跳ね返る。HPCはお得ですよ、というしだい。「日本はすでにシナリオB に入っている。」(第5世代のことを言っているらしい。)  座長が、いまのレポートが当たっていると思う人手を挙げて、といっても だれも手を挙げず、ニヤニヤしていた。「ゼロサムゲームなんだから、これ だけ出せばどこかが減るんで、そのマイナスの効果も計算しなくては」と いう反論も出ていた。  こんな、おもしろいセッションがあるなら、もっと前から出てみれば よかった。 まずは、お粗末な報告。                        以上 ================================================================== Date: Wed, 21 Nov 90 00:11:09 -0800 From: Eugene N. Miya To: fpst@hubcap.clemson.edu Subject: Re: Supercomputing '90 at New York Hilton Hotel Newsgroups: fj.comp.parallel In-Reply-To: References: <8481@gama.is.tsukuba.ac.jp> Organization: NASA Ames Research Center, Moffett Field, CA Cc: Another one: In article >In article <8481@gama.is.tsukuba.ac.jp> oyanagi@gama.is.tsukuba.ac.jp (Yoshio Oyanagi) writes: > > >東大駒場の牧野です。 > > > 小柳義夫@筑波大学 です。 > >  開会式の基調講演は、シンキング・マシン社の創立者の一人で、そもそ > > もの発案者の、Danny Hillisでした。 > > >  ダニーはまずChallenging Old Assumptionという見出しのもとで、コネ > > クション・マシン(CM)が、何でもできて、Crayより速く、Cray > > よりやすい、とぶちあげました。記号処理もできる(1.2GIPS)、 > > 数値計算もできる(地球物理で1.2GF)、陰解法だって海中音波の > > 解析で1.25GFもでる。有限要素だって、宇宙ステーションの構造 > > 解析のような不規則な通信を含む計算もできる。近接相互作用だけでなく > > ボルテックス模型のような非局所的な計算でも5.2GF出る。気象モデル > > のFree Lagrange codeのような動的な通信を含む計算もできる。NCAR > > の浅水コードではFFTをつかったスペクトラル法だって1.8GFでる。 > >不規則な通信を含む計算のところだけ数字がでないのはもともと出なかったの >ですか?まあここだけ 50Mflops ぐらい(ありそうな話だ)で恥ずかしかった >とか。ボルテックスなんかは非局所的といっても通信は局所的ですからね。 > > >  さて、次は「Transition to Massive Parallelism」と題して、1995 > > 年までに1TFlopsのマシンをつくる、と宣言しました。言語としては > > FORTRANでよい、と。ただし、Fortran90ですが。 > > >  結論として、1995年までに > > 現在のCM−2とソフトウェア・コンンパチで > > 1 Tera Flopsの演算速度 > > 1 Tera Byteのメモリ > > 1 Tera bit/sのI/O速度 > >1 T Byte ぶんのメモリが幾らするかというのを別にすれば、それほど大変な >目標でもないですよね。あ、 I/O もバンド幅はとれても物理的にディスクが >付くかどうかは問題かな。まあ Cray がどうなるかわからない現在では >TMC はアメリカの最後の希望の星だから、がんばってほしいですね。 > > 牧野 淳一郎 (Junichiro Makino) > makino@graco.c.u-tokyo.ac.jp > 東京大学教養学部情報図形科学教室 > phone: 03-467-1171 ex.240 > Fax : 03-465-2896