Path: coconuts.jaist!norisuke.jaist!skylark!icspub!odins-suita!kuee-news!tamaru-news!Q.T.Honey!news.join.ad.jp!wnoc-tyo-news!newsfeed.btnis.ad.jp!np0.iij.ad.jp!news.iij.ad.jp!news.ses.co.jp!east-news.csi.ad.jp!yuge!not-for-mail From: Watanabe Yuu Newsgroups: fj.rec.games.video.pc,fj.rec.games.video.home Subject: ADV(Re: YU-NO) Date: Sat, 24 Jan 1998 01:29:53 +0900 Organization: Yuge National College of Maritime Tech., Japan. Lines: 313 Message-ID: <34C8C581.3F47@yuge.ac.jp> References: <69naoa$l2l@nns.cc.hokudai.ac.jp> <69nuv1$ahb$1@news.st.rim.or.jp> Reply-To: s95046@yuge.ac.jp NNTP-Posting-Host: pdomc2.center.yuge.ac.jp Mime-Version: 1.0 Content-Type: text/plain; charset=iso-2022-jp Content-Transfer-Encoding: 7bit X-Mailer: Mozilla 3.03Gold [ja] (Win95; I) Xref: coconuts.jaist fj.rec.games.video.pc:15981 fj.rec.games.video.home:18371 こんばんは。渡邊@弓削商船です。 このスレッド、根が深いですねえ。と、言うわけで、まず自分なりに 話の内容を整理してみることにしました。 長いですが最後まで読んでいただきたいと思います。 そうすれば、私が前の時も何をいわんとしてたかがお解りいただけるもの と思います。これだけ書いてフォローがつかなかったら悲しすぎ(不安) まず、わかりやすくするためにアドベンチャーゲームを種類分けして みることにします。なお、これからアドベンチャーゲームの事をADV と略すことにします。 ADVの種類 1.テキストアドベンチャーゲーム。   いわゆる「ゲームブック」と言われているものとは違う。   基本的にゲームシステムは後述する2,3等と一緒であるが、   プレイヤーに対する情報提供が文字情報のみで絵は無い。   まさにこれぞ元祖。のちにリメイクされて、システムの改善を   はかられたものもある。が、それでも基本的に絵はなく文字のみ。   代表作   ミステリーハウス・ゾーク1,2,3・宇宙の掃除人等、   超初期のADV 2.元祖単語探し型アドベンチャーゲーム。   基本的にメディアがテープだった事もあって、一本道であること   が多い。その場面をクリアできなければ、次に進めない。   アイテムの取りのがしは、そくつまりに繋がる。正しい単語の   入力が、フラグ解除に繋がる。違っていれば反応無し。   画面を読みとり、推理する能力が無ければクリアは難しい。   代表作   デゼニランド・サラダの国のトマト姫等、初期のADVのほとんど 3.2の発展系である、単語組立型アドベンチャーゲーム。   フラグ立てに必要な単語(名詞・動詞)等が、あらかじめある程度   提示されており、その組み合わせでフラグを探す。1の延長系。 4.コマンド選択式アドベンチャーゲーム。   ADV界に大いなる変革をもたらした新しいシステム。それまでの   「単語探しゲーム」とは違い、複数の行動があらかじめ用意されて   おり、その選択と組み合わせによりフラグが立つ。が、この方式は   簡易であるがゆえ諸刃の剣であり、コマンド絨毯爆撃によって   解ける多くのシナリオの無いゲームが生まれたため、ユーザーのADV   離れを促進させてしまい、一時期ADVは存続の窮地に立たされること   になる。が、中にはコマンド絨毯爆撃では解けない(実行しては   いけないコマンドがある)、よく考えられたシナリオによる名作   も数多く生み出している。   代表作   軽井沢誘拐案内・ポートピア連続殺人事件・ジーザス・スナッチャー   ・EVE等多数。 5.画面クリック型アドベンチャーゲーム   マウスの普及による(昔はマウスなんて無かった)、ポインティング   デバイスによる新しい形式。とは行っても初登場の歴史はそこそこ   昔の1991年。エルフによるELLEがその初登場。それまでのコマンド   選択型ADVとくらべ、より直感的なシステムとなった。   が、最初はコマンド選択の後で、更にその後ポイントによる探索   というあくまで既存のゲームの中での延長であった。分かり易さの   ためか18禁ゲームのさわりまくりシーンに多用される事となったのは   別の話。   代表作   ELLE等、エルフのゲーム・他多数 6.サウンドノベル型アドベンチャーゲーム。   弟切草に端を発するシナリオ重視型。ノベルと言うだけあって、話の   内容は濃いものが多い。サウンドと名が付くように、効果的な音の   使用により、プレイヤーをゲームの世界に引きずりこむ。   その話の内容は多岐にわたり、同じゲームでも舞台設定がまったく   別に変わってしまうと言う非常に意欲的な試みも取り入れられている。   かまいたちの夜等続編では、その舞台設定の変更と言うものがなくなって   しまい、一つの舞台設定上で話の内容が変化するようになり、矛盾が   減った。絵はあまり重視されず、あくまで雰囲気を盛り上げるためのもの。   システムとしてはコマンド選択型であるが、大胆な表現により既存の   ADVとはひと味もふた味も違う。   代表作   弟切草・かまいたちの夜・街・リングオブサイアス等。  7.ビジュアルノベル型アドベンチャーゲーム。   基本的にゲームシステムはサウンドノベルと大差ない(はっきり言って   同じである。このことはビジュアルノベルの作者も認めている)。   が、大きく違うことは、登場人物のキャラクター製を大幅に全面に   押し出している。ビジュアルと名が付くだけあって、グラフィックに   重点が置かれている。 番外その1.デジタルコミック   コマンド選択さえ面倒に感じるユーザーの為につくられた、選択が   一切ない(またはほとんどない)ソフト。話を読むためだけにあるが、   パソコンでやる必要性をさほど感じさせず、一部を除きやがて廃れた。 番外その2.アクションアドベンチャーゲーム   何でもアドベンチャーをつければいいという例。基本的には   アクションゲームだが、間にアドベンチャーパートが入り、そのパート   をクリアしないと先に進めない。アクションゲームにはストーリーという   ものが薄かったため、ストーリー重視の風潮に対する対策か。   他にもアクションシューティングゲーム等もある。   代表作   スタートレーダー等 さて、とりあえずADVについてはまとめ終わりました。基本的に番外以外は 時代順に並べてあります。 さて、ADVについて語るのであればその変遷から判断しなければなりませんね。 というわけで大ざっぱに行ってしまうと、 1.2.3.の単語探しが行動の主流だったころは、まさに制作者の意図した 単語を見つける、というパズル的要素が多きかったのは他の方もおっしゃって いましたがその通りです。だから、解くためには「制作者の気持ちになって」 プレイする必要があったのです。中には「こんなの絶対わかりっこねー」てな 物も数多くあり、古いプレイヤーの中には「ああ、俺がどうしても行けなかった あの続きには何があったのだろう」とノスタルジーを起こさせるゲームも数 知れず。このころ山下章氏が大活躍した時代ですね。が、「制作者の意図を 推理する」のが度をすぎ、内容がマニアックに難解になってしまったため、 ついていけないプレイヤーのADV離れが始まります。これがADV第1の危機。 そこで、その頃のADV大手のENIXが考え出したのがコマンド選択方式。初心者に も 取っつきやすく、自分で行動しているというのが分かり易い優れたシステムで す。 堀井祐二氏の優れたシナリオとも相まって大ヒット。が、優れたシステムが真似 ら れるのは世の常。その後祖乱製造された上っ面だけマネした考えられてない シナリオ・システムによるコマンド絨毯爆撃で解けるゲームの大量氾濫により、 これまたプレイヤーのADV離れが始まります。で、これを救ったのが「素晴らし い シナリオ」のADVです。ジーザス、スナッチャー等優れたシナリオにより、 プレイヤーを引き留めることに成功しました。このころからゲームが一般的に 認知されるようになり、ゲーム雑誌の批評が機能してきたことも一因でしょう か。 あまりにひどいADVはその後淘汰され、そこそこのレベル以上の物が出来るよう に なりました。 このころから、他のジャンル(特にRPG)にプレイヤーを奪われ、システム 的に停滞していたADVは進化が止まります。消えて無くなりはしませんでした が、 ゲーム界でのシェアは確実に低下しました。 新しい入力方式である、画面クリック型のADVも出てきましたが、コマンド選択 が 置き換わっただけで、そこまでの伸びは見られませんでした。画面クリックを活 か せるシナリオがまだ出来ていなかったせいかもしれません。 が、この方式がブレイクしたのがエルフの「同級生」です。どちらかというと既 存 のADVとは違い、プレイヤーの五感の変わりに画面クリックを多用していました ね。 フィールド型とのゲームの組み合わせ、時間の概念の導入など様々な要因が混ざ り 合って昇華したいい例だと思います。シナリオも秀逸でした。 と、ここまで見ていただければ解ると思いますが、時代は既にライトユーザーが 大勢 を占めており、「そう難しくなくゲームを楽しませる」為には、システムをいく ら 練りこんでもそこまでプレイしてくれるプレイヤーの絶対数が少なくなった以 上、 シナリオに重点を置かなくてはならなくなったのです。でなければ、ソフトが売 れ なくなってしまったのです。 そこでシナリオ重視を行き詰めたのが、チュンソフトの「サウンドノベル」 シリーズです。「弟切草」は、プレイヤーを飽きさせない多数の奥が深いシナリ オ、 何回もプレイする事による新しい展開、「ピンクのしおり」等、マニアも納得の 深いゲームシステムにより大ヒットとなりました。続編である「かまいたちの 夜」 も大ヒットしました。 で、ここでこれまでの話の本質に入ります。サウンドノベルは、皆さんご存じの 通りシナリオが命です。そのシナリオをよりよくプレイヤーに読ませる為のシス テム、 それが、あの画面一杯の絵、効果的な音、読みやすい大きい文字、なのです。 こういうシステムになったのはある種必然と言えるでしょう。が、あくまで 「コマンド選択により話が進む」システムでした。が、そのコマンドはあくまで 「話の分岐」のみに関与し、「探索」には関与していないと言うことをまず 上げておきます。 で、ここでやっと話の中心であるリーフのビジュアルノベルシリーズへと 話が移ります。このゲームは、システム上はサウンドノベルと全く一緒です。 が、 登場人物のキャラクター性はこちらの方が遙かに上ですね。18禁というジャンル の せいかもしれませんが、程度の高いシナリオとも相まってこれまた大ヒットしま した。 これも「コマンド選択により話が進み」ますが、このコマンドもまたあくまで 「話の分岐」のみに関与し、「探索」には関与していないですね。 で、ここで一つ僕は疑問を持ちました。はたしてサウンドノベルやビジュアルノ ベル の選択肢は、コマンドと言えるのか。そもそもコマンドとは、初期のアドベンチ ャー ゲームで、 ------------------------------ 人が死んでいます。 コマンド?> ------------------------------ から来た物である以上、主人公(自分が操作するキャラ)の行動が、コマンドで あったはずです。もしくは、主人公以外のキャラであっても、常に誰かの行動が コマンドであったはずです。                    〜〜 しかし、ノベル式ADVでは主人公の動作以外の選択も出てきますね。 その時点で、それはコマンドでは無くなっているような気がします。 そこで、ノベル式ADVは、コマンド選択方式ではない、状況選択方式な ゲームであるとの結論に僕は達しました。「話の分岐のみに関与し、 探索には関与していない」というのは、探索には行動が付き物なため、 行動はコマンドに直結してしまうということなのです。 もっと詳しく言います。 すなわち、ノベル式ADVは選択肢がコマンドではない、状況の選択も入るのに 対し、それまでのADVは選択肢がコマンド(行動)一辺倒なのです。 画面クリック型でも、選択肢型でも、結局選ぶのは主人公の行動ですよね。 これでノベル式ADVとそれまでのADVに線引きが出来ませんか。いくら、 見た目がノベル式であっても、選択が行動ばかりで、また同じ場面に戻って くるようではそれはノベル式ADVでは無いのです。 逆に、見た目がいままでのコマンド選択方式のようであっても、選択肢が 行動だけでなく、同じ選択に再び戻ってくる事がなければ、それはコマンド 選択方式ではなく、内容としてはノベル式に近いのです。 この辺これまでの僕は勘違いしていました。この持論を使うことにより、 これまでの矛盾を解決することが出来ます。 さて、こう考えると鬼塚氏の「ビジュアルノベルのアドベンチャーゲーム における優位性」の話がみえて来ます。きっと鬼塚氏は、それまでのADV が行動一辺倒だったのに対し、ノベル式ADVは動作以外の選択も付け加えた。 すばらしい!!ビバ!!という事が言いたかったのです。 ↑すみませんちゃかして。違ってたらごめんなさい。 これは確かにその通りです。選択の幅を広げたノベル式ADVは、確かに既存 のADVとは一線をかくしています。 それで次に鬼塚氏は、「クリックしたり選択選んでも結局制作者の用意した 文しかでて来ないでは無いか。しかも無駄にクリックしなければならない。」 ともいい、それまでのADVは無駄の固まりであると言っています。 これも、先ほどの行動の選択と、状況の選択で説明が出来ます。 鬼塚氏はADVは移動だけのゲームである、ともいっていますが移動を一番よく する行動だと考えると、あながち間違いとも言えませんが、まあこれは 極端すぎたのでしょう。様々な人から意見が出ています。 話がそれました。まず、私たちの現実世界の事を考えてみましょう。私達が 行動するとき、例えば物を探すとき、何回も同じ動作をしますよね。物を 見回したり、腰をかがめたり、箱を開けたり。捜し物が見つからなければ くり返したりもします。すなわち、人の行動それ自体が繰り返しなゆえ、 無駄も当然出てきます。空の箱を何回開けようと空であり、またそれを くり返す事は自由です。たとえ無駄であっても。 これがノベル式であるなら、箱が空であるという事を登場人物が認知した。 その時点で状況は進歩しているのです。知らなかったことを知った以上、 くり返す理由はありません。話が先に進むのだから無駄が無いに決まって います。ここでまたそれまでのADVとノベル式ADVの線引きができます。 それまでのADVは状況が停滞しますが、ノベル式では状況の停滞はありえ ないのです。なぜなら、話が先に進むから。 いえ、冗談で言っているのではありません。話が進む、それこそがノベル式の 要件なのです。小説を読み進めるがごとく話がすすむからこそのノベル式です。 例えば、「彼は外を見た。何もなかった。次に彼は部屋の中をみた。机と椅子 があった。それで彼はその机をみた・・」てな小説があったら、面白くも なんともないにきまっています。なぜなら、話がぜんぜんすすんでいないから です。おまけに行動に自分が関与することすら出来ませんしね。 ここでまた氏の「ADVはビジュアルノベルに出来るが、その逆はない」 という事を考え直してみます。 これは、ADVはビジュアルノベルに出来る、といってもそれは無いと思います。 ビジュアルノベルっぽいADVは出来ても、行動による話の停滞が起こる以上、 ノベル式ADVの利点を台無しにしてしまいます。 次にその逆はないとの事ですが、これはその通りです。見た目ADVにしても、 内容がどんどん進みプレイヤーの関与も少ないため話の停滞が無く、解決する 様なことも必要ないためADVである理由がありません。 これでこの問題も解決しましたね。 で、話はリアクションの無いコマンドによるプレイヤーの虐待に話が飛ぶわけ ですが、これはいくら何でも言い過ぎでしょう。これじゃあ従来のADV愛好者は マゾだといってるも同じじゃありませんか。いやもしかしたら自分自信にマウス クリックを強要するというマゾ的要素もあるかもしれませんが(笑) このへんはプレイヤーの嗜好の違いでおさまる範囲でしょう。 飯塚氏が野球の話で詳しく説明していらっしゃるので割愛します。 ただ一つ言うと、鬼塚さんが、「ゲームを遊ぶ」ということに関して、とって もヘタクソというワケではなく、そういうことに慣れてないだけだと思います が。 昔のADVでは当たり前だった、「制作者の意図を予想する」事が必要なゲームが ほとんどないですからね。そのへん鍛えられている自分らとは違うんでしょう。 実際鬼塚氏がゲームをはじめたのは最近のようだし。 そもそも、画面クリック型のADVでも詳しくテキストを読んでいれば、 よっぽどシナリオがまずいゲームでもない限り、クリックすればいいところは 大体予想が出来ると思うんですけどねえ。18禁なゲームのさわりまくりシーン でも感覚でわかると思うし。そのへんやっぱり慣れでしょうか。 で、話を総括します。この文で、ADVの歴史を長々書いて来たのには理由が あります。すなわち、自分や飯塚氏(たぶん)はこれだけのADVの歴史をたどっ て きていて、その延長線上でノベル式ADVを語っているのに対し、鬼塚氏は ゲームの歴史が浅いこともあって「最初にビジュアルノベルありき」状態に 陥っているように思います。これでは話がまとまりませんね。 鬼塚氏の視点が「ビジュアルノベル1番!」から変わらない限り議論は平行線 でしょう。たぶん。 ノベル式ADVは、さまざまなADVの歴史を経て洗練されてきた新しいADVの形式 なのですから、既存のADVより優れていて当たり前と言えば当たり前です。 それがわかっていただけない。そして、これから先ノベル式ADVが進化しても、 僕らは「ああまた一歩ADVが進歩したな」ととらえるのに対し鬼塚氏は 「これぞビジュアルノベルの勝利!」ととらえそうな気がしてならんのです。 視点の違いと言えばそれまでですが、鬼塚氏はなんだか視野狭窄に陥って いるような気がするのは自分だけでしょうか。 で、鬼塚氏は「マッチメーカー」についても言及しておりましたが、あれって 極論すれば定型文を作成しているだけじゃないですが。決まった文の形が あり、それにそった形で文章を作成する。直子の代筆みたいなものですね。 あれだって無限に文章を製造出来ます。ぜんぜん面白く無いですが。 真に文章を作成してくれるシステムは、少なくともまだこれから先しばらくは できないでしょう。個人的には、アリスソフトのオマケでついているような、 (たしかTADAさんが作っていたのかな)不条理4コマ漫画みたいな物の 延長線上で何かゲームが作れないかなと思ったりしております。 では、長くなりましたがこのへんで。ADVの歴史で間違いが含まれていたら どなたか訂正してください。それでは。 ----------------------------------------  弓削商船高等専門学校 商船学科3学年  渡邊 優  mailto:s95046@yuge.ac.jp ----------------------------------------