Path: coconuts.jaist!rinji-news.jaist!suzuki From: suzuki@jaist.ac.jp (Masato Suzuki) Newsgroups: fj.rec.games.video.pc Subject: Re: Might & Magic2 Date: 22 May 1996 16:50:36 GMT Organization: Japan Advanced Institute of Science and Technology, Ishikawa, Japan Lines: 122 Message-ID: <4nvgks$puc@rinji-news.jaist.ac.jp> References: <4nnnj3$ndm@orchid.mirai.or.jp> <960522131724.M0200738@sun551.is.sci.toho-u.ac.jp> NNTP-Posting-Host: clipper.jaist.ac.jp X-Newsreader: mnews [version 1.19PL1] 1995-12/25(Mon) 鈴木@JAISTです。M&M シリーズは好きなCRPGのひとつでして、 思い入れがあるので若干長くなっています。 の記事において sano@csce.kyushu-u.ac.jpさんは書きました。 >> LevelUPさせてHPが999を越えると基本的に敵の数が200匹以上出て >> きて、ゲームをあきらめました。 だからHPは300〜400位で止めておく必要があるんですよ。 (MoonRay のおかげでそれほど高いHPは必要としませんので) | HPが膨大になる薬とかいうのありませんでしたっけ?(泉だっかかな?) | これ使うとハマります。 >> もともとあまりテストプレイはしない会社なようなので、ゲームバ >> ランスを期待するのも無理な気はしますが...。 >> たしか、アメリカから仕様書を送って貰って別個に作っていたそう >> ですから、アメリカで出たバージョンとは全然違ったりして。 全然違います(^^)。私は由緒正しい Apple II 版でplay しました。 (残念ながら本当の意味でコンプリートはしていません。 いつか再挑戦してやろうと思っていますが、時間がとれなくて...) 友達のところで(バグバグ?)98版を少しだけ見せてもらったのですが、 o モンスターの出現頻度(98の方が多い?) o モンスター退治時にもらえる経験値(98の方が多い?) o 迷路(特にプラスクエスト関連, Appleの方が難しい?) o 謎かけ(英語の言葉遊びがあるので、これはしょうがない) などがApple II版とは明らかに違いました。 M&Mシリーズ に限らず、アメリカの CRPG を国産機に移植する際に (日本の平均的 CRPGプレーヤーのレベルを考えて?) バランスを調整することは よくあるようです。ただし必ずしも良い方向に改善されているとは 限らないのはご承知の通りです。例えば Wiz 7 は国産機版は(PS版を含めて) かなりやさしく(=レベルが上がりやすく)なっていますが、これによって Wizシリーズ共通の "ある程度のレベルまでは行動に制限を受ける" ことによって 生まれる一種独特の世界感(緊張感)が損なわれているのもまた事実です。 M&M2 Apple 版では 何をしたら良いかは最初全くわからなくて、 最初はひたすらレベルを上げる。そのうちに行けるところが広がってきて、 街や城を探検して金や銀のプレートを集めるとそこに(英語の)文章が現れて 始めてやるべきことがわかるんです。これはその過程を楽しむゲームであって どこかの街の壁に最後の謎の解答が書いてあるなんて邪道の極みだと思います。 あと 敵の出現数がパーティの HP に比例して多くなるというのは 当時としては非常に斬新なアイディアでして、これによりプレイヤーの 行動の自由度(=システムデザイナーのシナリオの自由度)が格段に増します。 なぜならば DQシリーズのように基本的に1本道のシナリオの場合、 その流れに反する行動を取ろうとするプレイヤーに対しては 行って欲しくない場所に(レベル不相応の)強いモンスターを 配置することで行動を阻止する必要があるわけです。ただしこの方法では 強力なアイテムにより強行突破を図る、いわゆるパワープレイヤーを 完全に阻止することはできず、さらに何らかの対抗手段(フラグ立てなど)を 効じる必要があり、結果としてシナリオを不必要に 複雑なものにする可能性があります。 これに対してM&M2のシステムでは、プレイヤーがどのエリアから探検を始めても パーティの成長につれて(自動的に)モンスターが強くなるわけです。 当然ながらそれに対する(プレイヤー側の)対抗手段が用意されていまして 呪文が与えるダメージやHPが回復する量が魔術師や僧侶のレベルに 比例するようになっています。これは正しいタイミングで成長させていけば パーティーのHP と モンスターの強さ、呪文の強さなどが ちょうど良くバランスするわけで、その成長のさせ方を発見するというのが このゲームの重要なポイントであり、楽しみのひとつでもあるわけです。 先程のHPだけが増える薬、というのは、これに対する有効なトラップとして 機能するわけです。プレイヤーは薬を使うことによるメリットより デメリットの方が大きいということを身を持って(?)体験することにより この薬の持つ本来の意味を知るわけです。すなわちそれはこのゲームシステムの 理解を助けるための道具であり、比較的早いレベル(10位?) で このことを理解しないと、レベルが上がった時に苛酷な戦闘が 待っているわけです。"敵が強すぎる" というのはこのシステムを 正しく理解しているならば起こり得ないことなのです。 典型的な例が Mega Dragon でして、これは普通の方法では まず100% 倒せません。このようなものに関しては、正面から戦う 以外に何らかの手段(カロン王にOrbを渡す) が用意されています。 ただしこれを実現するには、準備段階の幾つかのクエストをこなし、 タイムマシンの謎をとき、必要なアイテムを集める、という (決して容易ではない)手順が必要になります。この手順を発見することが このゲームを攻略する上で非常に重要な鍵となるわけです。 なおApple 版では、タイムマシン発見の見返り(?) として 9世紀のザブラン城に すべての呪文(レベルアップ時に自動習得しないもの)の 入手方法が記されています。これは私の知る限り98版には なかったと思います(7年以上前なのであまり自信はありませんが ^^;) だから本当は国産機版でM&M2評価してほしくないんですよ。fanとしては。 M&M2の不幸(?) は、国産機に移植を行ったチームが このゲーム特有のシステムをほとんど理解せず、表面的なバランスを調製することに 専念してしまったことに、90%位は起因しているように思います。 残りの10%は CRPG に対する日米の考え方の違いです。少なくとも当時の日本では "CRPGはパーティーを育てて最終的に巨大な敵をうち倒すゲーム" という 考えが主流であり、その成長の過程を楽しむ、成長のさせ方そのものを発見する、 さらにそれを通じてプレイヤー自身が学習、成長する という発想(遊び方)は なかったんだと思います。まあこれはいたしかたないでしょう。 (現在では FFシリーズの様に "成長" を重要なテーマとするCRPGがありますけどね) で、M&Mシリーズ(英語版)で現在入手できるのは IBM-PC版しかないのですが、 残念ながら book 2 は'96年のカタログには載っていないんですよね。 ちなみに New World Computing 社の連絡先は P.O Box 4302, Hollywood, CA 90078 TEL: 800-325-8898, 818-591-4136 [DOS版] book 3(Isle of Terra) $32.95 book 4(Clouds of Xeen) $24.95 book 5(Darkside of Xeen) $24.95 4と5のCDROM(World of Xeen) $32.95 海外への発送は送料 $15 だそうです。book 2 もまだ在庫あるかも知れませんので、 英語版を入手して、"本当の" M&M2 の世界を体験することをお勧め致します。 M&M シリーズを通じての Fanの たわごとでした (^_^) ------------------------------------------------------------------------ 鈴木正人 : 北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 e-mail: suzuki@jaist.ac.jp