Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.nc.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@grape.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.math,fj.sci.physics Subject: Re: オブジェクト(対象)とメタ Date: 20 Jul 1998 16:07:31 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 97 Message-ID: <6ovq04$5uv@news.nc.u-tokyo.ac.jp> References: <6ogs2l$jr9@news.nc.u-tokyo.ac.jp> <6ol7lm$s1u@news.nc.u-tokyo.ac.jp> <6omglc$7q@news.nc.u-tokyo.ac.jp> <6oshjl$gfn@news.nc.u-tokyo.ac.jp> NNTP-Posting-Host: provence.c.u-tokyo.ac.jp X-Newsreader: mnews [version 1.19PL2] 1996-01/26(Fri) Xref: coconuts.jaist fj.sci.math:6266 fj.sci.physics:8211 の記事において okatsuya@venusux1.kek.jpさんは書きました。 >> 検証というからには, 現実の実験と数値実験の結果を比較する以外には無いと >> 思いますが. はあ、そうですか。相関関数についての現実の実験というのは例えばどんなも のがあるのですか? >> 数値誤差_だけ_とは言ってませんが. >> 始めに述べたように, これは粗視化の一例として挙げただけです. ほう、なるほど。で、「粗視化」というは岡部さんが前にあげられた統計力学 の基本法則とはどういう関係にあるのですか? ミクロな量からマクロな量についての関係を導くにはなんらかの意味で の粗視化が必要なのは当然ですが、それは岡部さんが前にあげられた統 計力学の基本法則とは無関係な概念でしょう。 >> 私の記事を始めから読んでもらえば, おわかりいただけると思いますが. >> 始めから, _微視的物理法則_には還元できないと主張してますね. 粗視化が必要であるという極めて当たり前のことだけを主張されている のでしたら、別に意見の相違はないと思うのですが、そういう主張です か? 岡部さんのあげられた統計力学の基本法則は必要な仮定であるとお考え なのか、そうでないのか、結局どっちなのでしょう? >> > 熱平衡状態を議論するのであれば、別に LTE が保証される必要はどこに >> > もないですが、LTE が保証されない系に平衡状態の統計力学が適用出来 >> > ないとお考えになる理由はなんですか?局所平衡というのは、あくまで >> > も全体が非平衡の時にローカルには平衡とみなしていいという意味です >> > から、全体が平衡の時にはそもそも意味がない概念です。 >> >> 「全体」というのは何を指しているのです. ちょっとまえの岡部さんによると、 >> ある系に着目した場合, その系全体が熱平衡になっていなくても, 部分系に分 >> 割してみたとき, 各部分が十分な大きさを持っていれば, その部分に対して熱 >> 平衡という概念を適用する事ができます (いわゆる局所平衡状態ですね). ということだそうです。私が書いた「全体」は岡部さんの書かれた系全 体のことです。 >> 「部分」と「全体」に何か定性的な違いがあるのでしょうか? どうなんでしょう?ちょっと前の岡部さんに聞いてみてはいかがでしょ う。 >> > あと、ちょっと話を戻すと、岡部さんの考えでは LTE というのはどうやっ >> > て保証されるんでしたっけ。結局お答えいただいていないですよね。 >> >> 質問の意味が理解できないのですが. そですか。では別に答えていただかなくて結構です。一応、もともと私 が聞いて、岡部さんがお答えになっていない質問をもういちどあげてお くと > 「部分系に対しては熱平衡という概念を(近似的に)適用できる」とい > うことは岡部さんの考えではどのようにして保証されるのですか。 というものです。 >> > あの、、、答える前に念のため確認したいのですが、剛体球系のような >> > 孤立系がカオス的であっても数値計算による誤差等がなければ統計力学 >> > なり熱力学が成り立つような振舞いはしないはずであるとお考えである >> > のでしょうか。それとも、そういう意味ではないなにか違うことをおっ >> > しゃっているのでしょうか。 >> >> 古典力学系はカオス的といっても, 粗視化を前提としない限り, 時間に関する >> 非対称性は出て来ないのではないですか? 粗視化は無限精度の数値計算をやったとしても時間平均等によって実現 できますね。実際、解析解がある無衝突ボルツマン方程式から観測時に 粗視化を行なうだけで初期条件が力学平衡解でなければエントロピーが 増えることを導けます。もちろん、無衝突なので熱平衡にはいきません が。 もういちどお伺いします。 剛体球系のような孤立系がカオス的であっても数値計算による誤差等が なければ統計力学なり熱力学が成り立つような振舞いはしないはずであ るとお考えであるのでしょうか。それとも、数値誤差等がなくても、観 測時に粗視化すれば統計力学なり熱力学が成り立つような振舞いをする とお考えでしょうか。 ところで、岡部さんは「粗視化」というのを、観測の時に分布関数を見 る分解能を落す(平均化する)というのとは違う意味、具体的には対象 系の位相空間での軌道にランダムな摂動を与えるという意味に使ってお られるようですが、岡部さんの考えるところの粗視化というのはそうい うのを含むものなのですか。上に私が書いた粗視化というのはそういう ものではなく、あくまでも観測に影響を与えるだけで対象系の発展には 影響しないものです。 牧野@東大駒場