Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.u-tokyo.ac.jp!news.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@grape.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.misc Subject: Re: Selfish gene [Re: Sarin, etc.] Date: 23 Apr 1995 09:02:52 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 38 Message-ID: References: <1995Apr19.095337.4104@kubotaj.tt.kubota.co.jp> <3n4ddt$sau@adam.dsp.cl.nec.co.jp> <1995Apr20.040726.11024@kubotaj.tt.kubota.co.jp> <3n81ti$a9v@adam.dsp.cl.nec.co.jp> NNTP-Posting-Host: grape.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: ohta@dsp.CL.nec.co.jp's message of 21 Apr 1995 10:37:37 GMT 牧野@東大駒場です。ちょっと驚いたので、、、 >>>>> On 21 Apr 1995 10:37:37 GMT, ohta@dsp.CL.nec.co.jp (Mutsumi Ohta) said: > 太田(む)です。 > ドーキンスへの批判文献です。 > まず、御存知の方も多いでしょうが超有名なのが > [1]S.J.グールド『パンダの親指(上)』早川書房 > の第8章です。 > グールドはドーキンスの説を聞いて「頭髪が逆立った」そうです。 > グールドの説明は大変解りやすいので下手な解説はしません。 > ただ、次の部分を引用します。 > 「ドーキンス理論の持つ魅力は、西洋式の科学思想にまつわるいくつかの悪習 > ---原子論、還元主義、決定論などと呼ばれる姿勢----に由来する」 えっと、これって、だから間違ってるとか間違ってないとかいえる話ではない ですよね。 > これに対して、ドーキンスは『利己的な遺伝子』の注釈で反論してますが、 > どう読んでも反論になっていなかった、というのが私の意見です。 > ドーキンスはグールドの論点を根本のところで理解しそこなっていると思いま > す。 グールドはドーキンスの論点を根本のところで理解しそこなっていると思いま す。グールドはドーキンスの理論を「からだは個々の遺伝子 がそれぞれつく りあげるような多数の部分に分解できる」(「パンダの親指」日本語版 p130、 早川書房)という主張を含むものととらえているようですが、ドーキンスはそ んなことは主張していないでしょう。「何百という遺伝子が協同してからだの ほとんどの部分をつくりあげる」(同書、同ページ)と考えていることにかわ りはないと思います。ブラインド・ウォッチメイカーにでてくる形態の進化の モデルはまさにそのような「多数の遺伝子が協同してからだを作り上げる」と いうものですから。 牧野@東大駒場