Path: coconuts.jaist!cs.titech!news.dec-j!spin-hsd0-tky!yhqfm!xeroc!claris!shiro!jh1ynw!tyo-noc-news!news.iij.ad.jp!vcmei!ced.mei!chorus.mei!oskgate0.mei!odins-suita!ougw2!ccews2!newssinet!news.u-tokyo.ac.jp!komaba!makino From: makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.soc.culture Subject: Re: [PSEUDO] pseudosicence book Message-ID: Date: 17 Jun 95 04:35:10 GMT References: <3rqq29$8sg@adam.dsp.cl.nec.co.jp> Followup-To: fj.soc.culture Organization: Dept. of Earth Science & Astronomy, College of Arts & Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 92 NNTP-Posting-Host: tache.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: ohta@dsp.CL.nec.co.jp's message of 16 Jun 1995 02:25:12 GMT >>>>> On 16 Jun 1995 02:25:12 GMT, ohta@dsp.CL.nec.co.jp (Mutsumi Ohta) said: > 太田(む)です。 > In article wd@ics.nara-wu.ac.jp (Hiroyasu Kamo) writes: >>> 中沢新一騒動については、当事者たちがマスメディアで語ったことしか知らな >>> いので本当のところはわかりませんが、当事者の主張を読むかぎり、科学者の >>> 誰もが『雪片曲線論』はマトモでないと主張したのにも関わらず、哲学側の関 >>> 係者はそれを無視したという経過に見えます。 > えー、私も当事者じゃないのでマスメディアしか情報ソースがありません。 > で、 > 1。科学者の誰もが『雪片曲線論』はマトモでないと主張した > というのは、多分そうだろうと思います。 > あれを科学的にマトモとは言わんでしょう。 あ、いや、そうでもなかった(ほとんどの人は単に無関心だった)よう です。 > ところで、 > 2。中沢新一の業績として『雪片曲線論』をリストに入れたのは西部萬 > (ごめんなさい、正確な漢字が出ない) > らしいですね。そもそもの推薦者が西部さんらしいけど。 > で、こういうレトリックの固まりみたいな『雪片曲線論』を業績に数えるとい > う神経が私には判りませんでした。これをアカデミックな業績としてカウント > しろ、と言われたら誰だって「あのね」と言いたくなる。 えっと、人文系の研究者の場合、著書とか雑誌に書いた解説みたいなも のはすべて業績リストに加えるというのはごく普通のことだと思います。 上のような見方は自然科学者には普通かも知れませんが、「誰だって文 句をつける」というものでもないのではないでしょうか。 村上陽一郎さんが、たしか非常勤講師の採用を決める時に「この現代思 想という雑誌(雑誌名は書いてなかったかも知れません。本が見つから ない、、、)はレフェリードジャーナルですか」と会議で聞かれたとか いう話を最近の本に書いてましたけど、太田さんは質問する人の側に立 ちます? > 宇宙物理学者が明確な誤りを指摘した(確かスケーリングについて > の用法だったと思います)ことで、中沢不採用に会議の流れが決定づけられた > そうです。で、これは私の想像ですけど これはまあそういう風に聞いています。フラクタルがどうのこうのとか いう話だったそうです。 自然科学者の方には、「教養課程の学生(文系、理系両方)に間違った 科学知識に基づく講義をされるのはいかがなものか」というような意識 はあったのかもしれません。 > 4。本田勝一氏によれば『中沢問題』は本当のところは『西部問題』なんだ > そうです。要するに西部教授をめぐる学内政治問題がこじれており、中沢採用 > 問題はたまたま、ネタにされただけという説です。確かに端から見て妙なこじ > れ方をしてましたから、きっとこじれるに至る下地がぐちょぐちょぬちょぬちょ > とあったんでしょう。 このへんは良くわからないですね。 > で、蓮実先生は中沢新一が何を狙って、どういうレトリックを駆使しているか > が判るから「クックック」と笑っていられる。しかし、判らない人にはぶっ飛 > び過ぎていて、軽薄極まり無い本にしか見えない。そこに加えて、もっともら > しい自然科学の用語が使ってあって、しかもそれが誤用だったのが判明したり > すると「よーするに疑似科学だな、えっ?」ということになります。 > で、何が言いたいかと言うと、学術用語の誤用はビシバシ指摘するのは、 > 当り前のことで、この点『雪片曲線論』はビシバシ叩かれて当り前です。 > しかし、それだけで中沢新一の業績が否定されたというのは、 > 木を見て森を見ずというか、ピントが外れているというか、なんというか。 > (加えて学内政治問題が絡んでいたというんですから) えっと、人事が否決されたからといって「業績が否定された」というこ とにはならないのではと思うのですが。学内政治が絡んでいたとすれば いっそうですね。 > 『中沢問題』での一連の辞職教官に(確か)名前を連ねた科学史専門の > 村上陽一郎さんは、 どうでもいいですが連ねてません。村上泰亮さんは辞めてたかもしれな い。 > 6。中沢新一が提起する近代主義パラダイムの見直しを自然科学サイドが > 遂に理解しなかったことが不幸だった、 > という主旨の発言をしておられます。 > これが、もっとも的を突いた要約だと私は思いました。 こういわれると、普通の自然科学者なら「算数もできん奴にパラダイム の見直しなんかできるものか」とかいって反発しそうな気がします。 牧野@東大駒場