Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!wnoc-sfc-news!venus.sun.com!cs.utexas.edu!news.sprintlink.net!news.gdbnet.ad.jp!sinetnews!newssinet!news.u-tokyo.ac.jp!komaba!makino From: makino@komaba.c.u-tokyo.ac.jp (J. Makino) Newsgroups: fj.sci.misc Subject: Re: Selfish gene [Re: Sarin, etc.] Date: 25 May 1995 16:56:47 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 47 Message-ID: References: <3nq4ki$7dl@adam.dsp.cl.nec.co.jp> <3p9r0j$2qj@adam.dsp.cl.nec.co.jp> <3pe881$3o2@adam.dsp.cl.nec.co.jp> <3psbnu$74f@adam.dsp.cl.nec.co.jp> <3q14bm$qai@adam.dsp.cl.nec.co.jp> NNTP-Posting-Host: xss01.komaba.ecc.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: ohta@dsp.CL.nec.co.jp's message of 25 May 1995 05:25:08 GMT 牧野@東大駒場です。 In article <3q14bm$qai@adam.dsp.cl.nec.co.jp> ohta@dsp.CL.nec.co.jp (Mutsumi Ohta) writes: >> 要点は、人間行動遺伝学では非相加型遺伝効果を認めているらしいということです。 >> これが成り立てば、ドーキンスの遺伝子淘汰説は成り立たないことは、今まで >> 私が書いてきた通りです。 あの、遺伝子淘汰説が成り立たないのではなく、「有利なのに広がらない」と か「不利なのに淘汰されない」形質があるということになるだけではないかと 思うのですが、そうではないのでしょうか。 >> さらに行動遺伝学のモデルでは、遺伝子群の効果についてこのような相加的な >> 場合だけでなく非相加的な効果も仮定する。これは遺伝子群の特定の組合せか >> ら、その単なる足し算では説明できない独特な効果が生じることであって、い >> わゆる優性とかエピスタシスなどと言われるものである。 >> 個々のパーツは遺伝しても、全体の組合せがどんな形かが重要である場合は、 >> その効果は個々の足し算とはならない。これはとても重要な点で「非相加的遺 >> 伝効果」があると、その形質は「遺伝的だが遺伝しない」ことになる。 非相加的であるありかたは一通りではないので、非相加的であれば淘汰が起き ないというのは成り立たないのではないでしょうか。例えばある形質が2個の 遺伝子に支配されていて、どちらか片方あれば1の効果で両方あれば片方だけ の時の4倍強くなるといったことがあれば、やっぱり淘汰はうけますよね。 >> このように性格の遺伝については、ポリジーンというたくさんの遺伝子を仮定 >> し、そこに相加的と非相加的な遺伝効果を考える。重要な点は決して「自殺の >> 遺伝子」とか「人を悲劇に陥れる遺伝子」などという単一の遺伝子を仮定しな >> いということだ。[太田注:ドーキンスファンの皆様の反論をお願いします。] 別に何も反論の必要はないと思います。 >> この著者は、これに環境からの影響を加えて性格という表現型は >> 表現型=(相加的遺伝効果+非相加的遺伝効果) >> +(共有環境の効果+非共有環境の効果) とても常識的な考え方ですよね。 >> としています。私にとって意外だったのは非相加的遺伝効果の割合は案外に少 >> なくて11〜19%程度のものであるという研究結果もあるそうです。 それ以外のものはそれぞれどの程度の寄与があるとされているのでしょう。 牧野@東大駒場