Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!infoweb-news!news.tokyo.infoweb.or.jp!kjmgwy.kajima.co.jp!news.iij.ad.jp!triton.ad.jp!news1.pu-toyama.ac.jp!icews5!newssinet!paris!alps!cryst!escargot!t-server!news.nc.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.physics Subject: Re: [Q] The theory of relativity Date: 02 Jun 1996 02:09:59 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 57 Message-ID: References: <4okfha$708@obl1.obl.cl.nec.co.jp> <4oqabs$qj6@newsserv.isc.osakac.ac.jp> NNTP-Posting-Host: muscat.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: g93131@mailserv.isc.osakac.ac.jp's message of 1 Jun 1996 20:49:00 GMT >>>>> On 1 Jun 1996 20:49:00 GMT, g93131@mailserv.isc.osakac.ac.jp (Takeshi FUJITA) said: > 光は重力によって、進路がゆがめられます。 > これは光の進路がゆがんでいるのではなく、重力によって空間 > がゆがんでいるからだそうです。光はそのゆがんだ空間の中を > 直進して結果的にゆがんでいるように見えるのだと思いますが、 > それではなぜ、光以外の物も同じ経路をたどらないのでしょうか? 他の方もおっしゃっていてように、「空間」が曲がっているのではな く「時空間」がまがっているからということになるかと思います。 つまり、時間も入れた4次元座標のなかでの軌道を考えて、その曲率 を出せば、それは速度の大きさにはよらない。 > 例えば、 > --------- > 光の場合 > * --> > ここから出発して * * >      重力源 このあたりにつくとします。 > -------- > 次に速度V1の物体なら、 > * --> > ここから出発して * >      重力源 * このあたりにつくとします。 > つまり、この例の場合、速度の小さい物体ほど、重力によって大きく > ゆがめられてしまいます。 3次元空間での軌道はもちろん速度が小さいほど大きく曲がるわけで すが、ここで4つ目の座標を入れれば、速度が小さいほど時間が長く たっている、つまり、速度が大きいほど時間方向に引き延ばされるわ けで、4次元時空の曲率は同じになるということだそうです。という か、4次元時空の曲率によってものの動く軌道が決まっているので、 それを3次元空間に投影すると速度によって曲率がちがうようにみえ るということです。 このへんはちゃんと勉強すればいいわけですが(私はしてませんが)、 数式をあまり使わずに概念を説明しようとしたものに、 「時間・空間・重力 --- 相対論的世界への旅 --- 」 J. A. Wheeler 著、戎崎俊一訳 東京化学同人、1993 というのがあります。高い本なので買えとはいいませんが(戎崎さん ごめんなさい)、この本の前半部は要するに藤田さんの疑問に答えよ うとしているようなものです。 牧野@東大駒場