Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.nc.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.physics Subject: Re: 自由落下の厳密解 Date: 16 Oct 1996 12:45:24 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 64 Message-ID: References: <53fv3j$98q@fs.naruto-u.ac.jp> <53skco$q9s@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp> <53v9qo$9gp@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp> <5425q8$q6b@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp> NNTP-Posting-Host: kaiji.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: c54262@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp's message of 16 Oct 1996 08:19:20 GMT >>>>> On 16 Oct 1996 08:19:20 GMT, c54262@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp (sakaguchi fuminori) said: > 坂口です。 >> これはその「説明」というのはいったい何かということによるのではな >> いかと思います。「実用的な予測手法」=「説明」とみなす立場なら十 >> 分説明でしょう。 > ええ確かに。ただ、そういうのを説明と呼ぶのでしょうか。 > (衛生の動きが万有引力の法則をもとに数値的に説明できた、というときの説明と、 >  衛生の動きそのものが何らかのモデルで説明できることとは、別では。) これが別かどうかというのはなかなか難しい問題だと思います。つまり、 計算機がある程度発達するまでは、例えば可積分であるとか、あるいは 近似的な可積分解があってそれと摂動展開の組み合わせて実用的な答が 求まるものしか、数値的に説明できなかったといっていいと思います。 で、そうなっていると、実用的な答を求めるのに必要な展開までをもって 「説明」であるとする(これはそんなに悪い定義ではないかもしれませ ん)と、何らかのモデルで説明できるということと数値的に説明できる ということは等価なわけです。 ところが、現代では近似的にも可積分でないような系というものも、実 用的な数値解が求められたりするわけです。 そういった系はどうすれば「説明」したことになるかっていうのは、お そらく人によって考え方が違うし、また同じ人でも問題によって違うで しょう。 > 基底に意味付けなりイメージ付けがありませんか。 > この問題の場合、差分法では「各格子点にポテンシャルのラプラシアンの原因が > 宿る」と説明するだろうし、球面関数展開の場合は「多重極子が作る重力場の > ようなものの重ね合わせが作られる」という説明にるだろうし。 「意味づけ」と「説明」は多分ちょっと違うものだと思います。もちろ ん実際にこれらの方法を使う時には「意味」を頼りに考える(まあそう でない人もいるらしいのですが)わけだし、そのために間違えることも あるわけですが。 > 重力の場合は負の質量がないので余り問題にはなりませんが、静電場の場合だと、 > 小物体の半径が無限小でも多重極子の寄与が出てきます。この場合、たとえば > 電気双極子というものは、実体(??)というより、ある言語に基づく定義では > ないのでしょうか。 本当に大きさがゼロだと電荷が発散しないと多重極子はないのではない かという気もするのですが、いずれにしても別に実体ではなくて計算手 法であると思っていても構わないと思うのですが。ただ、それが「実体」 であると思っていけない理由もないのではないかと思います。 > 問いかけたいのは、これが使用する数学手法に依存している > 点です。(もちろん答は変わりませんが、説明の道具に与えられる意味付けや、 > 有限項で打ち切ったときの描像は、言語に依存して異なってきます。) うーん、答が変わらなければ「同じもの」のような気がするのですが、 これは主観の問題かな。で、別に意味づけや描像が使用する数学手法に 依存せずに決まらないといけないという理由はないような気がします。 もちろん、球面調和関数展開が正しい説明であると信じる人々が、差分 法のほうが良さそうな問題でも差分法で計算する人を攻撃するといった ことが起きるとちょっと問題なわけですが。坂口さんの問題意識はその へんにあるのでしょうか。 牧野@東大駒場