Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.nc.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.physics Subject: Re: Solving puzzles (Re: Universal thought is impossible!) Date: 27 Jan 1997 17:46:35 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 52 Distribution: world Message-ID: References: <5a5t4j$htp@obl1.obl.cl.nec.co.jp> <5c7ejj$4sk@obl1.obl.cl.nec.co.jp> <5caiq3$t7t@obl1.obl.cl.nec.co.jp> <5ch109$jbf@obl1.obl.cl.nec.co.jp> <5chme5$ss0@obl1.obl.cl.nec.co.jp> <5ci61j$aph@obl1.obl.cl.nec.co.jp> NNTP-Posting-Host: muscat.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp's message of 27 Jan 1997 14:09:59 GMT >>>>> On 27 Jan 1997 14:09:59 GMT, makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) said: >>>>> On 27 Jan 1997 12:11:31 GMT, nambu@obl.cl.nec.co.jp (Yoshihiro > Nambu) said: >> 書名:研究する人生 理系の彼らは何をしているのか >>    別冊宝島137 >> 出版社:宝島社(だったかなー) JICC 出版局 というわけで、村上さんの文章「研究者はいつから愛を失ってしまったのか?」 というのを見てますが、 In article <5a5t4j$htp@obl1.obl.cl.nec.co.jp> nambu@obl.cl.nec.co.jp (Yoshihiro Nambu) writes: | |東大の村上陽一郎先生によると、 | |現代の物理屋さんの多数は、「冷たい企業家」であって、「知を愛すること |を忘れている」、「論文製造マシン」だそうです。 a)「物理屋」->研究者一般 b) 「冷たい企業家である」->直接対応する文面は見当たりませんが、あ えてあげれば「もはや研究者というのは、倫理ではなく非常に企業家的 な論理で動いている」(p. 269) というあたりでしょうか。表題の後の4 行くらいの要旨みたいな文章には「冷たい企業家」という文字が見えま すが、これは編集側で作った文ではないかと思われます。 c) 「知を愛することを忘れている」-> 「もちろん個人的には、そうい うものを持っている人はいます。でも総体として見たときには、(中略) 研究するということは知を愛することであり、知を追求することである という自覚は、もはやほとんど消え去ってしまいました」 d)「論文製造マシン」->「ただひたすらその同僚たちにうけのいい論文 を産出し、一種の論文製造機械みたいになって階段を上がっていけば、 どこかで学士院賞が取れたりノーベル賞が取れたりする、そういう仕組 みが非常に見事に出来上がっている」 というわけで、南部さんが書かれたことは村上さんが書いていることか らはかなり遠く隔たっているような気がします。研究者一般についての 記述が「物理屋」についてのものであるかのごとくに書かれているのを とりあえず置いておくとしても、村上さんの文章は、基本的に研究者個 人の特質についての記述ではなく、業績評価や再生産システムについて の記述であるのに対して、南部さんの書かれたものではそれが研究者の 大多数がもつ特質であるとなってますね。 もっとも、僕はこの文章で村上さんが書いていることにはあまり賛成で きませんが。 牧野@東大駒場