Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.nc.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.education Subject: Re: Digital Hollywood and Astronomy Date: 10 Jun 1997 11:48:11 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 59 Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: muscat.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: hironobu@h2np.suginami.tokyo.jp.NO_SPAM_HERE's message of 9 Jun 1997 18:47:28 +0900 Xref: coconuts.jaist fj.education:7359 >>>>> On 9 Jun 1997 18:47:28 +0900, hironobu@h2np.suginami.tokyo.jp.NO_SPAM_HERE (Hironobu Suzuki) said: > 所で、私立大学って、民営の大学じゃないんですか? :-) そのためかどうか、日本では私立大学で天文学科があるところはないで すね。とりあえず天文学ってのは民営化には馴染まないということなの でしょう。 #ま、国立大学でもあんまりないんだけど。 と、本題はそれだけなのですが、ちょっと原稿書きと書類書きから逃避、、、 > で、日本の学問スタイルは、ながーい江戸時代における、内部抗争しかやるこ > とのない貴族/闘争を忘れたカッコだけの武家というのがあるので、ヨーロッ > パ的な学問スタイルを受け入れやすく、しかも、明治以降に実際に積極的に取 > り入れていったものは、ヨーロッパ的な学問スタイルだったわけです。 うーん、ほんとですか?当時のヨーロッパといっても、学問が貴族の道 楽であったイギリスと、国家が推進するものになりつつあったプロイセ ンではかなり違うように思います。で、日本はどちらかといえばプロイ セン風のスタイルを取り入れようとしたのではないでしょうか。 これがフランスになると、また全然違うし。 > それがいまだに染み着いて、日本で学問スタイルというと『没落するヨーロッ > パ貴族階級の最後のプライドの砦である教養主義としての学問スタイル』を無 > 条件に、本来の学問スタイルだと思っちゃっている気がします。 個人的には教養主義ってのは結構好きだったりしますが、(自分にない ものには憧れるっていうだけかもしれません)日本のほうがアメリカよ りも教養主義的ってのはどうも感覚に合わないのですが、、、 > だから、日本が近代化する過程で、必ずしもヨーロッパ的な学問スタイルになっ > てしまうということもなかったのになー、と思います。実利的な、あるいはビ > ジネスとしても同時に存在していた日本の学問スタイルが、前近代的で切捨て > られていったのかも知れませんね。 > 今は、その近代から現代にかけて、作られてきた日本の学問スタイルは、実際 > の社会の認識とはかけ離れてきていて、時代遅れになってきていているのでしょ > う。 これは、「教養主義」というよりも、いわゆる「学問(あるいは科学) の制度化」という観点でとらえたほうが実際的であるように思います。 > それは、ちょうど搾取があってこそ存在する貴族や特権階級の人間が、消えて > いくのに似ています。もっと単刀直入にいうと、『学問をやっている』とかいっ > ていても、そのお金の元は税金なわけで、その税金を当然のごとく特権的に使 > えると思っているのは、もう既に貴族なわけで、それは現在では、もう成り立 > たないよ、と思うわけです。 このような、税金を使って学問をするということ自体が、ヨーロッパで 昔からあったことというよりは、19世紀後半から20世紀前半にかけて成 立した比較的新しいものではないでしょうか。もっとも、「新しい」や り方であるために、その使われ方にちゃんとした評価とかリストラクチャ リングがなされていない、あるいは、そもそも評価のしかたに関する社 会的な合意とかが良くわからないってことはあるのかもしれません。 牧野@東大駒場