Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.nc.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@chianti.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.philosophy Subject: Re: micro and macro Date: 25 May 1997 14:49:41 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 40 Distribution: fj Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: tapir.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: yori3@msedu-a.ms.u-tokyo.ac.jp's message of 25 May 1997 10:13:30 GMT Xref: coconuts.jaist fj.sci.philosophy:1640 >>>>> On 25 May 1997 10:13:30 GMT, yori3@msedu-a.ms.u-tokyo.ac.jp (YAMAGATA yoriyuki) said: > 素人考えなのですが、基本的な物理法則が時間反転にたいして対称ならばマク > ロな現象も特定の方向性は持たないのではないか? という疑問をもっていま > す。#有名な議論だと思いますが。 なかなか有名な問題ですよね。天体物理学者にはこのての話が好きな人 が結構いますが、例えば http://nova.earth.s.kobe-u.ac.jp/~matsuda/review/time.html あたりと、そのなかで紹介されている解説書なんかはどうでしょう? > 短い時間をとると(時間について局所的には)エントロピーが増大する方向に > 変化するということはランダウなどを読んで大体分かったような気がしますが。 えっと、もとが熱平衡であればそれ以上エントロピーが増大しようがな いので、普通いろんなところでエントロピーが増大するのは単にそうい う非常に特殊な初期条件を設定できたからである。で、宇宙がそういう 特殊な初期条件に満ち溢れているのはビッグバンのせい、まあいいかえ れば宇宙が膨張しているためであるっていうのが、それなりに受け入れ られている考えだと思います。 これはまあ、マクロな現象の方向性を「初期条件の特殊性」に押しつけ る、なんとなく嘘っぽいと思う人もいるであろう議論なんですが、他に 説明のしようがないという気もします。 あ、でも、 Yamagata さんの疑問点とはちょっと話がずれているかも。 上の話は、「我々の回りが熱平衡でないのは何故か」って話なんですが、 そもそも、非平衡状態があったとしてそれが平衡状態に向かうのは何故 かっていうところが疑問なのでしょうか?しかしこれは統計力学っての がそういうことを扱う学問ですから、、、 基本的には早川先生がお書きになっていたように、ミクロな記述からマ クロな記述にする時に必ず射影というか、平均操作みたいなことが入っ てきますから、そこで情報が失われているためにマクロな記述をみてい ると不可逆性があるということになるわけです。 牧野@東大駒場