Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.join.ad.jp!sutnews.sut.ac.jp!Q.T.Honey!quest-news!news.t.u-tokyo.ac.jp!news.nc.u-tokyo.ac.jp!ecc.u-tokyo!komaba!news.c.u-tokyo.ac.jp!news.c.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@kaiji.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.physics Subject: Re: =?ISO-2022-JP?B?GyRCJVAlaiU5JUYlIyVDJS8kSjdPJEskKiQxGyhC?= =?ISO-2022-JP?B?GyRCJGtHLk5PM1gkSyREJCQkRiROPEFMZBsoQg==?= Date: 12 Nov 1997 13:47:11 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 41 Distribution: world Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: kaiji.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: izumi@ibis.iamp.tohoku.ac.jp's message of Wed, 12 Nov 1997 20:51:09 +0900 Xref: coconuts.jaist fj.sci.physics:6043 >>>>> On Wed, 12 Nov 1997 20:51:09 +0900, izumi@ibis.iamp.tohoku.ac.jp (izumi makoto) said: > バリスティックな系における熱力学についての質問 >  初めに、バリスティックな系について説明することにします。私が問題にする > のは電子、そしてフォノンであるので、それらについての系の説明になります。 >  バリスティックな系と言うのは電子が散乱されずにすすむ距離、言い替えれば > 平均自由行程より小さい距離での系で、電子の運動が境界条件で決まる系のこと > を言います。私が問題にしたいのはこの系において熱力学第二の法則が成り立つ > のか?ということです。というよりこの系においての反例を見つけたようなの > で、皆さんに議論していただきたいのであります。 >  ここで、フェルミレベル近くにある電子の状態を計算すると(簡略化のため1次 > 元で考察)もちろんエネルギーの離散化が起こります。(計算の結果などは省 > 略。但し、摂動法を使用。)そしてその一つの状態に注目してみると運動量pは金 > 属A層で小さく金属B層で大きくなります。そうするとフォノンは電子の運動量の > 大きい金属B層でエネルギーをもらい(電子は下の準位に遷移し)、電子の運動量 > の小さい金属B層でエネルギーを与える(電子は上の準位に遷移する)のではない > かと考えられる。(キッテルの6版の固体物理学入門の付録Hを参照)そうする > と、この系の左側は熱くなり、右側が冷たくなるという現象が起こるのではない > か、ということである。ここで、これが定常状態となり、温度差が少しでもでた > とするならば、この構造を繰り返すことにより、ある程度の温度差を取り出すこ > とができる。しかし、それは熱力学第二の法則と相反する物である。 えっと、A, B の間をいきき出来る電子についてだけ平均をとると、ポテ ンシャルの高いAにいる時のほうが運動量が小さいけど、エネルギーが低 くてそもそもBに留まっていて、 A に到達出来ない電子ってのもありま すよね?それを勘定にいれると運動量が同じになりませんか? > (イメージ的に記述するとバスケットボールをついているとき、床近くのボール > の速度の方が手の近くより速く、また、床にボールが当たる音の方が手のそれよ > り、大きい。) この場合にはバスケットボールをたくさん考えて、分布関数がボルツマ ン分布になるとすれば、手まで届かないものも出てきますね。そういう のを全部入れてローカルな平均をとれば、ちゃんとどこでも運動量が等 しくなります。というか、空間密度が違うだけで、どこでも速度分布が 同じボルツマン分布で与えられることになります。 牧野@東大駒場