Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!news.join.ad.jp!Q.T.Honey!quest-news!news.t.u-tokyo.ac.jp!news.nc.u-tokyo.ac.jp!komaba!news.c.u-tokyo.ac.jp!makino From: makino@grape.c.u-tokyo.ac.jp (Jun Makino) Newsgroups: fj.sci.bio,fj.sci.misc Subject: Re: Molecular biologists like English so much. (Re: Physics Date: 08 Mar 1998 08:35:03 GMT Organization: College of Arts and Sciences, Univ. of Tokyo Lines: 67 Message-ID: References: <199803040139.KAA30654@comp.metro-u.ac.jp> <6diia2$248@newsj.cc.affrc.go.jp> <6dj0je$dl@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp> <35017A3C.147B@dent.dent.tokushima-u.ac.jp> NNTP-Posting-Host: kaiji.c.u-tokyo.ac.jp In-reply-to: Yasushi Okada's message of 08 Mar 1998 00:28:25 +0900 Xref: coconuts.jaist fj.sci.bio:5867 fj.sci.misc:3862 >>>>> On 08 Mar 1998 00:28:25 +0900, Yasushi Okada said: > こののようなものを持ち出したのは、坂口さんが、日本人が立派な論文を英語のの > 雑誌に投稿して、日本語の雑誌に投稿しないから云々と仰るのに対して、、例え > ば Nature や Science という英語の雑誌に日本人がどれほど投稿しているの > か、それがすべて日本語の雑誌に移ったとして、どの程度の影響力を持ち得る > かということを、議論するためです。 > Nature や Science を例にとったのは、科学全体を扱っているハイレベルな雑 > 誌で私が日頃読んでいるものというだけです。個別分野の雑誌では、これらよ > りと同等あるいは高いレベルの雑誌もあるでしょうし、実際私の分野ではある > のを知っています。が、あくまで例として、データが手元にあったこともあっ > て、Nature と Science を挙げました。 えーと、人数比で議論するなら全くナンセンスということはないと思い ますが、前に書かれていた、 > Nature に1年間にのる日本人の論文は生物や物理といった様々な分野をあわ > せておよそ 50報。一つの雑誌にまとめたとしても、1年分としては、ちょっ > と少ないですね。ましてや、分野ごとに分けたりすると、「世界的にもハイレ > ベル」な雑誌をつくるのは難しいのではないでしょうか? というのは、「Nature 以外の雑誌にのる論文はすべからくハイレベルで はない」ということを前提にしているようにも読めますので、ちょっと 無理がある主張のようにも思います。 > 他の指標でより適切なものがあると仰るのでしたら、、是非お教え下さい。 他にもっと適切で簡単に測定可能な指標があるとも思いませんが、 「NatureやScience(を典型とする英米系の雑誌)での比率」というのは、 やはり、それなりのバイアスがかかった数字になっています。岡田さん がそういうことに全く気がついていらっしゃらないとも思えないのです が、例えば > 「日本人はハイレベルな論文だと自分で思っていても、Nature や Science に > は出さないものだ」と認識せよと仰るのでしょうか? というのは、全くそういう傾向はないと信じていらっしゃるのでしょう か? > 少なくとも、Nature や Science だけではなく、たとえば Cell や JCB や > PNAS を加えたとしても、事事情は大きく違わないです。 あ、そうそう、ISIの調べでは、生物学・生化学というのは、(天体物理 学と並んで、、、)日本で書かれた論文の平均のインパクト・ファクター が低い分野の一つですね。というか、計算機科学を除くと、平均値が低 いのは生命科学系の分野に集中しています。これは科学技術白書にも出 てませんでしたっけ? 天体物理学はちょっと置いておくとして、日本の生命科学の国際的な地位 が他の分野、たとえば物理学や化学にくらべて大きく低いとも思えませ んから、平均のインパクト・ファクターというものがどれほど信用に値 するかというほうが問題な気はするのですが。 > だから、論文やスライドが英語だ日本語だと云々するのは末節の議論であって、 > 科学の世界での日本語の地位を向上させるには、「世界的にハイレベルな論論文」 > を日本人がバンバン出すことが先決であり、そうなれば自然と日本語語や日本の > 雑誌の地位も上がるだろう--と言っているのです。 岡田さんはそんなことはないとお考えかもしれませんが、多くの日本人 にとって英語の文献を読み、英語で論文を書くというのはかなりの負担 であり、その負担は英米語を母国語とする研究者には存在しないもので あるということは確かだと思います。そのような構造的な問題に対して、 上のような精神主義的なことをおっしゃるのは、個人の行動指針として は構わないと思いますが、個人の努力だけではすまない問題があるよう にも思います。 牧野@東大駒場