Path: jaist-news.jaist!coconuts.jaist!norisuke.jaist!skylark!icspub!odins-toyonaka!odins-alpha!odins-suita!kuee-news!tamaru-news!Q.T.Honey!news02.sinfony.ad.jp!wnoc-tyo-news!etlnews.etl.go.jp!news.trc!usenet@fs2.trc.rwcp.or.jp From: onizuka@mpapia.trc.rwcp.or.jp (Kentaro ONIZUKA) Newsgroups: fj.rec.games.video.characters,fj.rec.games.video.home Subject: Re: =?ISO-2022-JP?B?GyRCJU4lWSVrJT0lVSVIJE5DTUNKJEhGYhsoQg==?= Date: 05 Jan 1999 17:03:46 +0900 Organization: RWCP Tsukuba Reserch Center Lines: 129 Sender: onizuka@mpapia.trc.rwcp.or.jp Message-ID: References: <76sclp$ndr$3@pear.nssys.co.jp> NNTP-Posting-Host: pdappc1.trc.rwcp.or.jp Mime-Version: 1.0 (generated by tm-edit 7.35) Content-Type: text/plain; charset=ISO-2022-JP In-reply-to: shiba@nssysgw.nssys.co.jp's message of 5 Jan 1999 06:49:29 GMT X-Newsreader: Gnus v5.0.13 Xref: jaist-news.jaist fj.rec.games.video.characters:3483 fj.rec.games.video.home:9860 In article <76sclp$ndr$3@pear.nssys.co.jp> shiba@nssysgw.nssys.co.jp (Hiroshi Shibayama) writes: >今まで「ゲームは巨大資本のもとで組織的にやらないと『良いゲーム』は >作れない」と諦めざるを得なかった。 >しかし、これはシステム主導型の考えであって、実は「良いゲーム」とい >うものはシステムに依存しなかったのだ、と最近になって再認識した。 そうなんです。もちろん、この間私ユニバーサルスタジオ行ってきて、たしか に巨大資本の巨大エンターテイメントもすごいぞ、感動だぞっていうのは分かっ た。けれども、そうじゃないものもたくさんあるわけで、ゲームも、これから は大資本ゲームと、個人ゲームが分かれていくと思うんですよ。 >消費者が「システムじゃなくてシナリオだよ」「キャラ萌えなので」とか >いって、システムの重要性がガクリと下がった。 >そこに変貌のポイントがあると思うわけです。 >他にも要因はあると思うのでもうちょっとまとめておきたいところではあ >りますが。 あのね、歌とかでも、シンガーソングライターが自分で作って歌ってっていう 歌と、プロダクション、作曲家、作詞家、アイドル/歌手が唱う歌とはかなり 質的に違うんですよね。なんつうか、一人で全部やっている場合って、非常に 個性が出る。自分が唱いたいように唱う。いや、これは聞いてみると上手とか 下手とかじゃないんです。本人が歌を生み出し、歌を唱いっていうことをやっ ていると、演出もなにも自由。でもそうでないと作っている人唱っている人が それぞれ指導されてやっているでしょ。だから、はっきりどうだといえないけ れど一人でやっている歌と、チームワークで生み出される歌ははっきり違う。 さっきも書いたけれど、コミックでも、原作なりシナリオプロットと作画を別 の人がやっている場合は、全部一人で書いている(まあ、アシスタントさんは いるにせよ)場合では全然質的に違うんですよ。たとえば、垣野内成美さんが ほぼ一人でやった「美夕」のコミックの1巻と、旦那の平野俊弘(現俊貴)が プロット書いた「新美夕」ではまるで違う。うるし原さんの場合も、プロット/ 原作がよしもとさんのものと、一人で書いたものでは全然違う。 実写映画は原作/監督/演出/撮影を一人でやったとしても、どうしても役者 は必要。役者まで一人でやったら、そうとう制限された作品しか作れないしね。 まあ、実写映画はどう考えても数十人からの人が必要な、「大資本娯楽」なん ですよ。チームで作るもの。もちろん、監督の個性は出せるけれど、役者の個 性や脚本家の個性、結局いろいろな人の個性の混ざった作品ができるわけです。 いかに監督がワンマンでも限界はある。 アニメは、声優さんの問題さえクリアできれば、かなり一人でやれるものなの かもしれないけれど、まあ、苦労が多い。 #音声合成っていう話はある。 じゃ、ゲームは?っていったときに、私は大資本による大ゲームももちろんあっ てよいけれど、一方で、個人的なゲームが非常に欲しいと思うんですよ。シン ガーソングライターや小説家、漫画家みたいな感じのゲームクリエータがいて 欲しい。 で、これからの時代、本気で専門でそういうことやると、MIDIの打ち込みで音 楽つくって、コンピュータでCG書いて、さらに自分で文章も書いて、ってい う一人で全部やるゲーム作家さんが現れて良いと思う。インフラはどんどん揃っ ていくだろうし。趣味でやるにはきついけれど、本職でやるなら十分できると 思うんです。 で、こういう「個人的な作品が出せるゲーム」っていうのは、やっぱりノベル 系ゲームにならざるをえない。これは、小説までは個人で書けるが、映画は個 人では作れないというのと同じことです。CGばりばり、音響もすごい!ってい うゲームはやっぱり最後まで大資本ゲームだと思う。それはそれで良いと思う し。 でも、世の中、映画がこんだけあって、テレビもあるのに、ちゃんと小説読む 人いる。アニメがあっても、コミックは廃れない。だから、個人的ゲームもやっ ぱりどんなに大資本ゲームがはやっても、きっと廃れないと思うんですよ。で、 その姿はノベルゲームだろうってね。 でもって、日本ってもともと貧乏根性の国だから、娯楽に大資本ってダメなん ですよね。小説でも私小説が多かったり。日本映画よりアニメが元気なのも、 アニメのほうが小資本で作れるから(1本800万円/30分?2クールもの でも2億円。ハリウッド映画ってその数十倍使ってないかな?)。 その意味で、きっと、大資本ゲームはこれからアメリカがどんどん出ばってく ると思いますよ。あっちのほうが金の使い方分かっているし。で、考えてみる と、貧乏この上ないような貧弱なノベルゲーっていうの、世界広しといえども、 日本でしか出てない気がするんだな。こっちのクリエータをどんどん伸ばして いくこと、これが必要な気がする。 >最初からこれをいいたいがためにこの議論に参加してるんだけどなぁ。 でしょ。 >ゲームで小説を読ませるなんて説明する時代は終わって、小説はイコール >ゲームなんだと言わざるを得ない状況になる。 だと思うんですよ。インターネットのコンテンツってすでにハイパーリンクが 基本で、そのインタフェースは基本的にゲームと同じものです。だから最近じゃ あテレビ番組もそういうインタフェースみたいなものを画面に出してみたりす る。 小説とか詩とか、一般的な文芸も配布形式がデジタルになれば、基本的にハイ パーリンクとか出てくるし、凝ったところではフラグ立てくらいやるし、そこ に絵も入れたりする。だから、ノベルゲームとどこが違う?って話になる。 そういえば、「ハイパーポエム」っていうの書いている人がいた。詩であっち こっちにハイパーリンクはっているやつ。俳句とか詩とかで連歌とかそういう のもあるから、こういう方向でもゲーム的な方向性は十分でてくると思うんで すね。 平安時代の情緒を表現するような「詩集」「短歌集」として、serial experiments lain for PS みたいな画面全体に短歌を散りばめたみたいなもの をデジタルメディアで配ったら面白いだろうし。そこにたくさんの人の恋愛を 描くこともできるだろうし。いろんな可能性があると思うんですよ。伊勢物語 はハイパーリンクでデジタル化して配布したらすっごい面白いだろうし。 >活字が主に印刷メディアから供給されていた時代ってのも、既に過去の事 >であって、今や我々に身近な活字はコンピューター上に表示されたものな >のですよね。 そうそう。 >それが今までと同じように忠実に小説を表示しつづける必要性はどこにも >無いわけで、むしろゲーム化しるのは当然の流れともいえるんじゃなかろ >うか。 そのための表現手段として、ノベルゲームが単に分岐小説なんだってだけでも ないから、そこに独自の表現方法とか、ビジュアル/サウンドと文章とのうま い融合とか、そういうのがどんどん出てきて、しかもそれらが個人で十分やれ る範囲の作業で作られたら、これは非常によいことだと思うんですね。 >って、議論をシステムから切り離したものにすると理解されないのか議論 >が立ち消えになっちゃうんだよなぁ。 >うーむ、とんがり過ぎなのかなぁ。 いや、方向性はあっている。ただ、もっとつめるところつめないと、いけないっ ていうか、その、方法論を確立する必要はないが、新しい示唆をどんどん出せ るような議論になったら、いろいろ面白いと思うんですがね。 鬼塚