Path: coconuts.jaist!norisuke.jaist!skylark!icspub!odins-suita!kuee-news!tamaru-news!Q.T.Honey!news.join.ad.jp!wnoc-tyo-news!newsfeed.btnis.ad.jp!np0.iij.ad.jp!news.iij.ad.jp!news.trc!usenet@fs2.trc.rwcp.or.jp From: onizuka@mpapia.trc.rwcp.or.jp (Kentaro ONIZUKA) Newsgroups: fj.rec.games.video.characters Subject: Re: YU-NO Date: 14 Jan 1998 00:07:56 +0900 Organization: RWCP Tsukuba Reserch Center Lines: 195 Sender: onizuka@mpapia.trc.rwcp.or.jp Message-ID: References: NNTP-Posting-Host: pdappc1.trc.rwcp.or.jp Mime-Version: 1.0 (generated by tm-edit 7.35) Content-Type: text/plain; charset=ISO-2022-JP In-reply-to: iizuka@comp.metro-u.ac.jp's message of Mon, 12 Jan 1998 13:25:39 +0900 X-Newsreader: Gnus v5.0.13 Xref: coconuts.jaist fj.rec.games.video.characters:469 In article iizuka@comp.metro-u.ac.jp (iizuka-akimitu) writes: > 内容ですよ? 話の推移で引用が続いてますが、AVGもビジュ >アルノベルもキャラゲーである必要は全くないわけですし。 > まぁ、あえて振るとすると、fj.rec.games.video.homeと、 >fj.rec.games.video.pcのクロスポストかな、という気がします。 つうことで、fj.rec.games.video.characters のみに出します。 > どちらを選んでも何にも影響を及ぼさない選択肢が数多くあっても、 >それはやはりプレイ時間の時間稼ぎにしかならないでしょう。 AVGでもそうですね。一本道ストーリーのアドベンチャーゲームはたくさんあ る。YU-NO でも、デラ・グラント編に入ればそうです。そのときは、たんなる プレイの時間稼ぎでしかない。で、あそこでクリックさせるのは、たんなる演 出上の問題でしかない。 > ありえないのではなくて、できないんでしょう。 > プレイヤーが何かして時間が経過するわけではない。1本のスト >ーリーをテクテク読んでくだけなんですから、時間もクソないん >ですよ。 もしかして、ビジュアルノベルをぜんぜん知らない? そうとしか思えない発言ですね。 > 違います。如何にフラグ立ての作業からプレイヤーを解放するか、 >という戦いのひとつです。 どういうことですか?だって、ADMSが出てきたからといって、フラグ立て作業 は全く変化してませんよね。全くかわりはないのです。 > 1本道ストーリーの集合体でしかないのが現在のマルチストーリー >ゲームです。その限界を如何に乗り越えるのか、AVGのシステムな >ら可能性はあるけども、ビジュアルノベルではその可能性はほとん >どないんじゃないですか? いいえ、両者は全く同じで、全く同じ問題点を抱えています。マルチストーリー が、一本道ストーリーの集合であるのは、背景となるモデルがないからで、そ れはYU-NO でも、「痕」でも同じ。で、ストーリーの背景となるモデルをどち らがより考慮しているかというと、ビジュアルノベルである「痕」のほうです。 ただ、「痕」ではゲームシステムにそれがほとんど反映されていないのです。 逆に本来、AVG系RPGであるYU-NOのほうが、互いに矛盾した複数のストーリー の集合になっていますね。 どちらの場合も、ゲームを進めるときに、ゲームシステム側が世界モデルを持っ ていません。 > いや、違います。「同級生」はイベントにくっついたフラグから、 >ある一定の規則で動き続ける別のフラグに、ゲームの中心を置き換 >えようとしました。 > 結果としてイベントは向こうから来ないですから、余り理想的に >生きていませんが、それでも同時進行でストーリーを走らせる展開 >に無理がなくなりました。 > まあ、まだまだのシステムなんですけども。 どうやら、この「同級生」は若干の世界モデルを入れたものになっているとい うことでしょう。 >> いいえ、フラグ立ての要素は、雫や痕でも重要なものです。 > > その通りですね。ただのフラグ立てゲームから、どう発展させ >ようとか全然考えてないですから。 どうしてそう決めつけられるのでしょうか? > いんや。ビジュアルノベルはあくまでnovelでしかない、と申 >し上げている。1本道ストーリーの単なる集合体です。テキスト >と選択肢だけ表示して、それを隠そうとか、別の表現しようとか >システム的発展は、そのシステムゆえ不可能です。 それが考えの足りないところでしょう。背景となる世界モデルがあって、それ に対して、各場面でのシナリオが張りついているようなビジュアルノベルは可 能で、それが可能だというのは、AVGでの可能性と同じようなものです。 > 何日にもまたがったストーリーが展開できないからでしょう。 > そもそも日常を描くには全く適さないシステムですし。 > 所詮読んで、選択肢を選ぶだけでは、展開に限界があるんです。 ところが、ToHeart はその辺をちゃんと考えているから、一応、それぞれの女 の子のストーリーが矛盾なくからみあうようになっているんですね。 裏で、ある程度の世界モデルができている。 その意味では同級生と同じだと思いますよ。 >> なぜ移動しないとストーリーが進まないんですか? > > ですから感情移入を狙っるんですよ。 だから、それは演出にすぎない。 > ゲームとしてなしえるためには、プレイヤーに何かをさせなけ >ればならない。でないとホントに小説になっちゃいますからね。 > で、プレイヤーが起こした行動で何かが起きることを、表現する >のに移動するのは実に理解しやすい行動なんです。 それを、小説中の分岐で表してもなんにも問題ありませんね。その場面で可能 な行動(もちろん場所移動も含む)を選択肢で選ばせることができますからね。 AVGでも同じことをやっている。選択肢を選ばせるか、画面をクリックさせる かの違いだけですよ。 > 一般生活のなかで、移動することによって、何かが得られること >は不自然じゃありませんから。 全然不自然です。そもそも移動しないことでイベントを待つことが結構あるの に、それがおきない。 > 映画を見てるわけでもなく、小説を読んでるわけでもない。 > ゲームである以上、プレイヤーの自由度を放棄してしまうのは、 >本末転倒なんです。 だから、それをやっているのは、AVGのほうです。基本的に移動でしかイベン トがおきない。移動しないとゲームは進まない。嘘です。実世界モデルとして 考えたときは、移動も、たんなる行動の一つにすぎない。移動せず他の行動に よって、話が進むこともたくさんあります。 よいですか、人間の行動を簡単にモデル化するとしたら、以下のようなことが だいたいいえます。もっと細かいことを定義してもよいけれど、だいたいこん な感じ。 1)人間の行動は、その人間が特定の情報(複数)をもっているとき、その情 報に基づいた行動をとることができる。 1’)人間の行動は、その人間が特定のアイテムをもっているときに、その アイテムに基づいた行動をとることができる。 2)人間の行動は、特定の場所にいるとき、その場所に応じた行動をとることが できる。 3)人間の行動は、特定の時間帯において、その時間帯に応じた行動をとることが できる。 4)複数の人間に跨る行動は、複数の人間が互いに同じ場所にいるか、互いに連絡 をとれる状況で、その行動をとることができる。 さて、特定の場面(シーン)があったとすると、そこでその場面にいる人間の 行動は、1)、1’)2)、3)、4)から導出される複数の行動のうちのど れかです。そのような行動の中には、移動もあれば、一緒にいる人に対して、 なにか話す、つまり情報交換するとか、それこそキスする、、というようなも のも含まれます。 情報は、人間が特定の条件化で、受動的に得られる場合が多いでしょう。ある 場所にでくわすとか、人から話を聞いたとかで情報が得られる。 さて、これをどう演出するかです。AVGでは、極端な話をすれば、行動を移動 だけに限定して、しかも、移動可能不可能を考えずどこへでも移動できるよう にしています。そこでイベントが発生し、情報交換やアイテム取得が行なわれ、 ストーリーが進むのです。 分岐のあるビジュアルノベルでは、そうではなくて、シーンごとに、上記の1) から4)を考慮した上で、適切な行動複数をゲームプレイヤーに提示すること ができます。ただし、、通常1)から4)の原則に基づいて、行動を決めると 自由度が多過ぎるので、それは、シナリオライターの権限で、適切なもの以外 は選択肢にいれないかたちで絞り込んでいるわけですね。 で、実際上、AVGでも、よくできたものは、行動の概念も入れているし、移動 しなくても、複数のイベントがその場で発生したり、それを中断させる方法を もっています。 つまり、両者のやっていることは全く同じ。 上記の1)から4)が、いわゆるフラグです。で、これは、論理型プログラミ ングのような形で、特定の行動が可能になるのは、そのためのフラグが立って いるからだと考えることができます。まさに、Prolog 言語のホーンクローズ の形になっています。 で、そのときに可能な行動で(ストーリーを進める上で)不適切なものを省い たものが、そのシーンにおける実際に可能な行動で、それがプレイヤーに対し て、選択肢として与えられる。不適切なものを除いた結果選択肢が一つしかな い場合は、ビジュアルノベルでは、そのままストーリーが進む。AVG系統では、 それすらクリックで行動させる、ということですね。 実際には、登場人物全部に対して、上記モデルを作り、矛盾のない世界を実現 するべきですが、それは、現状ではそこまでキレイにモデル化されているわけ ではないので、上記モデルのようなものを、逆に複数のストーリーをつくりこ むことで、概ね矛盾のない世界を実現しているのが、一般的なゲームです。 なお、フラグは0、1のバイナリな世界ですが、これをグレースケールにする と、シミュレーションゲームの「好感度」やRPGでの経験値に対応するものに なります。これらは、論理型プログラミングの世界から、ニューラルネットの ようなものに若干シフトした形になっているといえます。 結局のところAVGもビジュアルノベルもシミュレーションゲームも、リアルタ イム性のないゲームのほとんどは、こういうモデルに帰着しますから、その意 味で同じです。 ここにおいて、無限の自由度をもつ、多くの恋愛シミュレーションゲームや、 場所移動でストーリーが進むAVGが全部融合する。では、それらの中のストー リー部分をもっとも端的に表現して、必要ないものを一切とりはらうと、ビジュ アルノベルになります。それでも上記モデルを構成するように作り込めば、非 常に自由度の高いものを作ることはできます。 その意味では、現在のストーリーをもっていたり、キャラクターが登場する ゲームのほとんどは、上記のようにモデル化でき、それの中で面白いところを、 手作業で作り込んでいるのが実際のところでしょう。 鬼塚@ http://www1.nisiq.net/~onizuka/multiscenario.html に詳しく書きました。