Path: sran265!katsu From: katsu@sran14.sra.co.jp (Katsuhiro Watanabe) Message-ID: Date: 21 Jan 92 18:48:49 Organization: Software Research Associates, Inc.,Japan In-reply-to: ono@soft.kme.mei.co.jp's message of 23 Dec 91 23:55:54 GMT Newsgroups: fj.unix, fj.questions.unix Followup-To: fj.unix Subject: Re: resource Distribution: fj References: <2735@icscA1.kme.mei.co.jp> (Followup-To: に注意)  おそらく jp で一番 follow が遅い渡邊@SRAです。読み方の話も 大事かとは思いますが、こういう話だって負けず劣らず大事だと思います。 記事 <2735@icscA1.kme.mei.co.jp> で ono@soft.kme.mei.co.jp (N.ono@AI2) さんいはく > 命題: > 「最小限のスワップ領域と実メモリで >   実質的に問題のないスピード(スワップやページアウトが頻発しない)で >   開発したアプリケーションを動かしたい。」  さては、UNIX を冷蔵庫か洗濯機か電気釜あたりの家電機器に安く 組み込むために、メモリーとディスクをけちろうという話でしょう? :-)  これは OS 依存の話になります。そもそも、スワップやページアウトのような システム全体の様相に関係する活動を、「開発したアプリケーション」という システムのある部分に関する情報との関係で記述するのは本質的に無理です。 さらに、実メモリの量とページングの割合はトレードオフ関係にある場合が 多いので、「頻発」や、「実質的に問題のない」というのを客観的に 表現しない限り、「最小限の実メモリ」というのは出てきません。また、 > 「プロセス・サイズや実行形式のファイルサイズなどから > 必要なスワップ・サイズや実メモリのサイズを割り出せばよい。」 >  と思うのですが、 というように、静的な情報から演繹的に主記憶の設定を導き出すのは 難しいのではないでしょうか。あまりに動的に決まる要素が多いのと、 それらの相互関係が複雑過ぎるからです。例えば 4.3BSD なら、 他のプロセスとの関係から始まって、プロセスの大きさが動的に変化する こととか、ページの参照頻度のページングへの影響とか、きりがありません。 ディスクバッファ用のページも動的にとられるのですよね?  結局、ps -l, ps -v, pstat -p, pstat -x, pstat -s, vmstat, vmstat -s, systat -v などを使って、実際の環境上で問題のプロセスを動かした時の 状態を監視し、その結果を元に構成を決めるしかないんじゃないかと思います。 これでも、例えば「特定のページが物理メモリ上にある確率」のようなものは 求められないので、どこまで有効かわかりません。  ついでですが、長い間動き続けるプロセスの priority は徐々に下がって いくことにも気をつけねばならないでしょう。 >  「この本を参考にすれば良い」とか  4.3BSD でのプロセススケジューリング戦略、メモリーモデル、ページング方策 などについては文献[2]が詳しいです。  また [3] では、実時間性の高いプロセスの UNIX 上での処理の難しさについて 触れています。今回の話と関連があると思います。 参考文献 [1]Maurice J.Bach, "The Design of the UNIX Operating SYSTEM",Prentice-Hall, Englewood Cliffs, NJ, 1986i, ISBN 0-13-201757-1. (翻訳:坂本文,多田好克,村井純,『UNIXカーネルの設計』,bit 1990年10月号別冊, 共立出版,1990年) [2]Leffler S.J., M.K.McKusick, M.J.Karels, and J.S.Quarterman, "The Design and Implementation of the 4.3BSD UNIX Operating System", Addison-Wesley, Reading, MA, 1989, ISBN 0-201-06196-1. (翻訳:中村明,相田仁,計宇生,小池汎平,『UNIX 4.3BSDの設計と実装』,丸善, 1991年,ISBN 4-621-03607-6) [3]themsKy,"止まるな!",bits 1992年1月号 7bits,pp72-79,共立出版 -- ----____----____ 渡邊克宏 SRAソフトウェア工学研究所