Path: titcca!ccut!tansei!a89082 From: a89082@tansei.cc.u-tokyo.JUNET (Naomasa MARUYAMA) Newsgroups: fj.junet Subject: JUNET as an academic network (Re: eiri or hi-eiri?) Part 2. Message-ID: <3166@tansei.cc.u-tokyo.JUNET> Date: 16 Mar 89 10:06:31 GMT References: <984@sran95.sra.JUNET> <12460@necspl.nec.junet> <3165@tansei.cc.u-tokyo.JUNET> Reply-To: a89082@tansei.cc.u-tokyo.JUNET (Naomasa MARUYAMA) Distribution: fj Organization: Department of Mathematics, University of Tokyo, Japan Lines: 115 丸山です。 続きです。またまた少し長い上にまだ続きがあります。 【法律上の問題点】 ハッキリ言ってしまえば大学を縛っている色々な法律(会計法とか大学法等) を厳格に解釈すれば、営利であろうと無かろうと民間企業からのメールやニュー スが大学のマシンを通過することは違法である疑いがあります。つまり国有財 産を特定の民間人或は民間企業に使わせると言うことには法律上の問題がある のです。これは大変悲しいことですが、現実社会の変化にたいして法律の方が 後手後手に回ると言う極めて日本的な事柄の象徴的な例と言えます。この手の 現実的で無い法律で我々大学の研究者が泣かされているものはいくらでもあり ます。例えば、印刷会社に印刷を発注する場合には古式ゆかしい活字組版印刷 でないといけない(つまり東大大型計算機センターニュースは毎月違法発注を やってます)とか、高額の設備を購入するにはそれが過去に他の公官庁に納入 された実績が無いと通りに難い(つまり最先端の研究はやるなと言うことらし い)等。大抵の事務官は本音と建前を使い分けて我々の便宜を計ってくれます が、人事移動で担当者が代わると時々パニックが起きます。私はかつてfj. rec.autosでのパッシングの議論の時「法律に触れるような投稿はし てはならない」と言いましたが、しかし今述べた問題については法律を厳格に 守ることは直ちにJUNETの崩壊を意味しますから、こればかりは違法行為 を奨励せざるを得ません。その場合ただ一つの大義名分は「JUNETはアカ デミックネットワークであり、大学での学問・研究に役立つ」と言う事に他な りません。この『アカデミックネットワーク』と言う言葉はJUNETの手引 の第1章の一番初めに出てきますから全てのJUNET参加サイトがこれにつ いて合意しているものと私は信じます。そしてこのような合意のもとにひろの ぶさんが言われた『バランス感覚』をもう一度問直せば ● 国有財産を特定の民間人或は民間企業がみだりに使ってはならない ● 現代の産業社会では営利の企業活動といえども一定の社会的公共性を持っ   ており、大学における学問・研究もこのような企業活動と無縁ではいられ   ない と言う2つの相反する事柄の間の『バランス感覚』であって、『アカデミック ネットワーク』と言う原則にたち返ってバランス点を見つけ出す努力が我々に 求められているのだと考えます。 以上は大学の立場からJUNETを論じた形になっていますが、企業サイトの 側から見てもある意味で同じ理屈が成り立つでしょう。JUNETは自社にとっ て利益をもたらすこともありますが、半面同業他社の利益になることや自社に 不利なことだってあるでしょう。企業サイトのメールやニュースが大学サイト のマシンを通過することの代償として、企業サイトもまた大学サイト間のメー ルやニュースを中継して頂かなければいけませんし、同業他社のメールの中継 も必要です。このような状況の中で自社の利益だけを考えたJUNETの使い 方は結局のところJUNETを破滅に導くでしょう。『アカデミックネットワー ク』と言う原則にたち返ってバランス点を見つける努力はここでも必要だと考 えます。 【v60manualの件】 hironobu@sran80.sra.JUNET (Hironobu Suzuki) <984@sran95.sra.JUNET> >ROSしておきながら、UNIXマガジン1月号で、ちゃっかりマニュアルの >申し込み先はv60manual@u.umit.mt.nec.junetとしているではありませんか!!! この件は kawamata@spls9.ccs.mt.nec.junet (S.Kaw) <12460@necspl.nec.junet> > 執筆者は,マニュアルの配布自身は特に営利行為にはあたらず, > 読者へのサービスとして軽い気持ちで書いてしまったと思います. と言うのであれば、ある意味ではそれほど重大な過失とも言えないと思います。 しかしここは『読者へのサービス』では困るので『JUNETの人々へのサー ビス』でなくてはいけません。その意味では hironobu@sran80.sra.JUNET さ んの次のご意見が私としては妥当な所だと思います。 h>JUNETに、この情報を流して、”詳しく知りたいならばカタログを送りま h>すよ。”と、いうのならまだ話しはわかります。 私の知る限りニュースはJUNETの唯一の公式な広報機関です。それを無視 して市販の雑誌にそのように書いたと言うのはやはり k> でもこれは間接的な営利行為である,営利行為であるとの誤解を招く k> という意味で,軽率であったと思います. と言うことだと思います。もしV60と言う製品には利益は求めるが、マニュ アルの方は純粋に実費だけでJUNETの人々へのサービスとして提供する、 と言う確たる信念をお持ちならば、今からでも遅くないですから、ひとつニュー スに「V60マニュアル申込み用のアドレスを作りました」と言うアナウンス を出してみては如何ですか?ただしJUNETの全ての人々が私と同意見では ないかも知れませんからそれでも「営利的でケシカラン」と言う批判を受けて キャンセルすることになるかも知れません。そこまで私は保証はできませんが ともかくNECさんも含めてJUNETの多くの方々に商品情報がJUNET のニュースとして流れると言う問題についての議論の土俵に上がって頂きたい と考えます。 【学術情報センター】 V60マニュアルの件につきNECさん(のどなたか)がニュースにアナウン スもせづに市販の雑誌にメールアドレスを載せたことを今問題にしましたが、 有る意味でこれと同じようなことが最近もう一件ありました。学術情報センター がRelay−csnet利用者にあてて出した「国際電子メールの平成元年 度からの運用について」と言う文書です。この文章には国際電子メールの利用 形態について今後も「JUNET経由で送受信する」と書かれています。しか るにこの事はニュースでは一切公式にはアナウンスされていません。私はこの 問題について既にfj.mailに質問の記事 <3022@tansei.cc.u-tokyo.JUNET>を出しましたが、担当者と思われる人からは 何の解答もありません。青木さん@東大大型計算機センターは善意から彼の知っ ていることをポストして下さいましたが、担当者ではないでしょう。営利では ありませんが、このようなJUNETにとって重大な問題がニュースに何のア ウウンスもされることも無く、誰が担当者であるのかもはっきりしない形で進 んで行くと言うことはJUNETの一メンバーとして私は極めて不愉快です。 V60マニュアルの方はまだ上司の許可を取った上でこのfj.junetに 反応がありましたが、それに比べればこのRelay−csnetの件の方が 遥かに始末が悪い事件であると私には思えます。今JUNETは行く手に官僚 主義、背後からは自社の利益しか考えない企業エゴと言う2つの敵に挟まれて いるように私には感じられます。この中でJUNETがアカデミックネットワー クとしての良心を貫き通すことはそれほど簡単なことではないかも知れません。 (つづく) 発信日:1989年3月16日 -------------------------------------------------- 4月1日にism.ac.jpにお引越しする 丸山直昌 東京大学理学部数学科 JUNET: a89082@tansei.cc.u-tokyo.junet CSNET: a89082%tansei.cc.u-tokyo.junet@relay.cs.net