Path: coconuts.jaist!wnoc-tyo-news!sinfony-news01!news01.so-net.or.jp!infosphere!asakanet!axion!asakagw!fiaskry!sakunami!kuroki From: kuroki@math.tohoku.ac.jp (Kuroki Gen) Newsgroups: fj.education.math Subject: Re: 掛け算に順番はあるのですか? Date: 18 Mar 1997 03:33:42 GMT Organization: Mathematical Institute, Tohoku University, Sendai JAPAN. Lines: 159 Distribution: fj Message-ID: References: <3324D694.A7E@kenroku.ipc.kanazawa-u.ac.jp> NNTP-Posting-Host: zakuro.math.tohoku.ac.jp In-reply-to: shimizu@astron1.astron.s.u-tokyo.ac.jp's message of 17 Mar 1997 19:32:16 JST 黒木です。 清水さんは、かけ算の順序という問題のみにこだわり、他の方々がどのような ことを気にしているかわかってないように見えます。清水さんは、 In article shimizu@astron1.astron.s.u-tokyo.ac.jp (Soichi Shimizu) writes: | |掛け算の交換則は大人だから知っていることではありませんか? |子どもにとって、はたして自明なのでしょうか? と「かけ算の交換則」には強いこだわりを見せているのに、 (1) かけ算の順序を(被乗数)×(乗数)に決めたのは教える側の勝手ではないか? (2) (乗数)×(被乗数)では駄目という理由は子供にとって自明か? という問題を完全に無視しています。清水さんは、かけ算の交換可能性を天下 り的に教えることを拒否していますが、別の強制については無視し、そちらは 肯定するという方針のようです。このことは、以下の引用を読めばわかります。 |次の設問をお子さんにしてみることをおすすめします。 | 問題1>つるの足は2ほんです。つるが6羽います。あしは全部で何ぼんですか? | 問題2>ねこが5ひきいます。ねこの足は4ほんです。あしは全部でなん本ですか? |もし、 | 解答1>2×6=12 | 解答2>5×4=20 |となるなら、5点しかくれなかった「先生」の処置は正しいことになります。 |というのは、この場合、問題文に出てくる数字を単に順序通りピックアップ |しているだけなので、このまま放置すると文章題のきらいな子ができあがる |でしょう。 かけるべき数字を順番にピックアップして、順次かけていくという作業は常識 的なものでしょう。 (やってはいけないことは、かけるべきではない数字まで かけてしまうことです。) 上のように減点してしまうやり方(清水さんが肯定したやり方)は、実際には気 にしなくてもよいかけ算の順序に注意を払うことを生徒に強要し、常識的には 正しいとみなされる答案も減点の対象にしてしまいます。清水さんが肯定した ようなやり方は、寛容に欠けた強制の一種であり、小学校二年生相手の教育と して好ましいとは思えません。 この種の強制を許すのに、相対的に害がずっと少ない(私には害がほとんど無 いと思われる)「かけ算の交換可能性の自由な使用の許可」の方のみを強く否 定するという考え方は、私にはよく理解できません。 念のために述べておきますが、なんでも強制するのは駄目だと主張しているの ではありません。常識的にはマルの答案にバツを付けるときには、それに応じ た極めて強い特別なメリットがなければいけないと考えられます。上の場合で は特別なメリットがあるとは考えられないので、私は有害であると主張してい るのです。 |「かけ算は交換しても同じだ」と最初から天下り式に教えてしまうのは、 |一見すると親切なようですが、子どもが自分で発見するきっかけを奪う |ようで感心できません。 このようなことを言う清水さんが、清水さんが肯定したやり方の中に寛容に欠 けた強制が含まれていることに気付いてないのは、なぜなのでしょうかね。 さらに、後藤さんによる In article <3324D694.A7E@kenroku.ipc.kanazawa-u.ac.jp> Shun'ichi GOTO writes: > > おそらく、なぜそうすべきなのかを授業で丁寧に説明したうえで >問題を出したのだと思います。だから減点するのは当然で、そうしないと >授業とのつながりがなくなってしまうでしょう? > 結論としては、 > > (1)息子さんの先生の言うのが正しい。 > > (2)掛ける順序はどっちがどっちでもいいけど、あらかじめ > さだめておいた順序に従うべきである。 という意見にも私は反対です。 もしも、それが「必要不可欠な規則」もしくは「有用な規則」であったとした ら、「従うべきである」というのは正しいと思いますが、件の問題における (乗数)と(非乗数)の順序は実際にはどうでも良いわけですよね。順序を片方に 固定することは不便を招くだけです。 かけ算の順序の問題にこだわりある教え方を実践したいのなら、もっと生徒も 我々も納得できる形でやるべきでしょう。 いずれにせよ、先生が強制したやり方が不合理であったとしても、それに生徒 が従うべきだという類の意見には到底賛成できません。常識的には正しいのに、 先生の言う通りじゃないからという理由でバツを付けるのは、手抜きであり、 問題があると思います。 マルを付けた上で、「先生はかくかくしかじかのつもりだったんだよなあ」と いう風に親切に教えて欲しいと思うのは私だけでしょうか? さて、このような視点から、清水さんの別の記事を眺めてみると、 In article shimizu@astron1.astron.s.u-tokyo.ac.jp (Soichi Shimizu) writes: | |入試ではありませんから、この試験の目的は序列をつけることではないでしょう。 |小学生の試験は | 「子どもの理解の様子を知る」=「先生が自分の授業成果を検証をする」 |が主眼でしょうから、あくまで「先生が評価される」べき性格のものです。 |生徒が点数をそんなに気にする必要はないはずです。 というように、実際にバツを付けられて悲しい思いをした子供の気持ちを無視 した上で、「バツを付けるのは先生の権利」という類の意見を述べでいます。 そもそも、単に子供の理解の様子を知るためだけに試験をやるのなら、バツを つける必要があるのでしょうか? このように先生よりの意見を述べた上で、もとの質問を出した Kato さんに対 しては、 |もとの質問をされた方には申し訳ないのですが、これは先生と生徒間の問題という |よりは、むしろ、親子間のコミュニケーションの問題ではないかと思っています。 |(ただし、本当のことは実際その子にあってみないとわかりません。) | |私が、もし母親からぐちゃぐちゃいわれたら、 |「(本当はわかっているけど、とやかく言われるのがうっとうしいので) | わからない。」 |と答えるでしょう。コミュニケーションが、とれていないから問題だというの |ではなく、こういうのはごく普通の反応と思います。 と全面的な疑問を表明した上で、結局、 |はなしはもとに戻ります。 |先生だって馬鹿ではないのですから、かけ算をどちらからかけても良いことは |知っているでしょう。そこをあえて減点しているのですから、教育の目標なり |方針なりがあるはずです。一部の事象だけ切り出して、そこを批判するのは、 |どうかと思います。(中には、子どものことを考えない教師もいるかもしれま |せんが、これまで私が受けた教育の中では見たことないです。) と先生よりの意見を述べ直しているわけです。清水さんの“傾向”は明らかだ と思います。 清水さんは、かけ算の順序という「一部の事象」のみを切り出して、他の方々 を批判するのもどうか、とは思わなかったんですかね?「一部の事象」であっ ても大きなことに繋がるかもしれないと考えた上で、清水さんは自分の意見を 述べているのですよね。他の方々も同様であり、もとの質問をされた Kato さ んも同様なのだと思います。 以上、私の専門が数学であるか否かとは無関係であると思われる事柄について、 私見を述べてみました。 (論理的にあくまで公平な意見を貫き通すという方針 においては、志村さんの記事が優れていると思います。個人的には Emi! さん の記事の内容が好きです。) 最後に、バランスをとっておくために、もう少し意見を付け加えておきます。 小学校の先生は、色んなことを数十人の子供相手に教えなければならないので 大変です。人にはそれぞれ得手不得手がありまして、算数の教え方はひどくて も国語の教え方は素晴しい先生とか、逆に国語の教え方はひどくても算数の教 え方は素晴しいという先生がいるかもしれません。先生にもたくさんの欠点が あるということを認めた上で、その先生から色々なことを教わろうとするとい う気持ちになるのは、小学二年生には難しいことだと思いますが、少なくとも 親の方はそのような気持ちで先生に接することは大事なことだと思います。私 は Kato さんの記事の内容をもとにして「その先生」に関して批判的なことを たくさん述べていますが、もちろん「だからその先生は全面的に駄目だ」と言 いたいわけではありません。まあ、このようなことは常識であり、言うまでも ないことですが、念のために述べておきました。 -- Gen KUROKI