「オブジェクト指向ソフトウェア工学OOSE」(以下、原書と翻訳書を総称してOOSE本と略) の訳本の復刻版に関する、監訳者による公式のページです。
1960年代からソフトウェア開発法を研究し続けてきたIvar Jacobsonさんによる オブジェクト指向分析設計方法論の解説書です。 JacobsonさんはEricsson社での開発を通じてObjectoryという方法論を構築して成功しましたが、 そのうちの基本概念をこの本にまとめて説明しています。
use-caseの概念を初めて世に紹介した原典でもあります。 use-caseとは、対象システムが外部とどのように対話するのか、 その一部始終を書き下したものです。 OOSE本では、
というuse-caseの基本理念を具体的に解説しています。
この本の内容は、OMT法・Booch法と併せて、 現在のUML記法およびRUP(Rational Unified Process)開発方法論の基礎となりました。 RUPにおけるベストプラクティス(有効性が実証済みのノウハウ)をみると、
などなど、この本やJacobsonさんの影響とみられるものが多数あります。 その意味で、 現代のソフトウェア技術者ならば誰でもがくぐっておくべき門と言える一冊でありましょう。
OOSE本の翻訳書旧版は、株式会社トッパンにより1995年9月25日に発行されました。 しかしその後トッパンは解散し、旧訳本も入手が不可能になってしまいました。 復刻版の本書は、その旧訳本に必要な修正を行って発行したものです。
復刻作業においては、旧訳本の監訳者の一人である渡邊克宏が内容の修正と校正を担当しました。 旧訳本に対して読者から寄せらた訂正を取り込み、本全体に渡って訳文の見直しを行ないました。 特に、手法の中心である7章と8章については訳を全面的に改めました。 原書の曖昧な点や誤りには、積極的に訳注をつけるようにしました。 この結果、施した修正や校正は、400個所にも及ぶ大規模なものとなっています。
復刻版は、2003年12月1日付で 株式会社エスアイビー・アクセス から発行されました。 復刻版は、お客様のご注文に応じて1部ずつ制作するという「オンデマンド出版」の形態で発行されます。 刷られた各部には奥付にシリアル番号が付きます。
InArcadiaの藤野晃延さんから、以下のような推薦の言葉をいただいています。
例えば UML 最新規約に準じた M.Fowler の essence 本やら、もう少し詳しい Cockbern 本が usecase の教科書としては用いられていても、しかしその roots は矢張り本書なので、そこに温故知新できることの意義は 言葉にするに余りあるでしょう。
印刷元のインフォ・クリエイツのブックショップにて本の見本のPDFファイルが提供されており、 目次や前書き後書き部分のみ自由に閲覧ができます。
見本のPDFファイルのURLは固定されたものではないかもしれず、 時と場合によってはこのリンクでは閲覧できないかもしれません。 その場合は、以下の手順で本の情報を取り出して、PDFファイルへのリンクを探してみてください。
表紙・裏表紙で、OOSE本の各種の区別をつけることができます。
OOSE本の訳本の復刻版はオンデマンド出版の形をとっているため 一般の書店(特約書店を除く)からは購入できません。 「OOSEの訳本の入手方法のページ」を参照してください。
誤植等がありましたらお知らせください。 このページに修正の情報を集める予定です。
復刊ドットコムの 「オブジェクト指向ソフトウェア工学 OOSE」の投票者の復刊コメント (夜間はメンテナンス中のことがある) には、48件もの復刊リクエストが集められていました。
復刻版監訳者:渡邊克宏
katsu@watanabe.name